香美町には、かつて、全国棚田100選のスポットが2つあった。
小代区貫田に『うへ山の棚田』
そして、村岡区和佐父の『西が岡棚田』だ。
どちらの棚田も、そこの土地の形状に沿わせたカーブの美しい棚田だった。
だった…と過去形になったのは、西が岡はすでにそのような風景がなくなってしまったからだ。
5年ぐらい前だったと思う。
西が岡棚田に何年ぶりかに行ったが、そこには、かつての美しい風景はなかった。
耕作放棄地が広がっていた。
日本の自然は、一部には手つかずであるがゆえに長年の生態系の営みで作り出された美しい景観というものが存在するが、ほとんどは、人の営みのそばにあるがゆえに作り出されたものである。
上記の棚田はその典型である。
昨今、空き家の増加で、崩壊してしまう場所も少なくないが、これもまた人の営みが離れてしまったゆえの現象だ。
つまりは、日本の美しさというのは、人がそこで生きるということそのものなのだ。
この時期、毎年道路の草刈りがある。
行政が公共事業として実施するものもあるし、集落が独自に日役で出役し、維持されるもの…さまざまだ。
高齢化、過疎化の進行で、道路除草がままならないところも出てきている。
うちの村も、参加人数が減ってきて、道路除草に困難が生じるようになってきた。
地域の景観は人の営みがあってこそだといことを改めて思う。