もう一回説明 | 関(仮名)の価値化ブログ

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私が日々行っていることを価値化するために努力するブログです。
いろいろなことについて書きます。
記事のテーマを参考にしてご覧ください。

アクセス解析の検索ワードを見てみたら

賞与引当 必要

賞与引当金 洗替法

在庫切り放し

退職引当金洗い替え

なんてワードでの検索が凄く多くてビックリしました。


前にもこのワードの検索が多かったので説明を書きましたが、あまりにも多いのでもう一度書きます。



《最初に》


まず、決算(月次、年次に限らず)で作るデータには大まかに

財務会計

管理会計

税務会計

の3つがあります。

(呼び方は各社で違うかもしれません)


財務会計とは普通に

費用が発生したら⇒計上

現預金に動きがあったら⇒計上

するものです。


管理会計とは事業継続や事業運営の指針となる会計データです。

例えば、

労働保険の納付は5月、8月、11月にあります。

賞与支給月は(おそらく6月、12月)賞与分の社会保険料が増えます。

ですので、これらの月には社会保険料(法定福利費)が大きくなります。

これを財務会計で表すと
関(仮名)の日々雑感-財務会計
となります。 (画像をクリックすると大きくなります)


売上10億円を毎月コンスタントに計上しているにも関わらず、赤字の月があったり黒字の月があったりしてます。

売上は同じなのに社会保険料が動いてるだけで

第1四半期は損益+1億円
第2四半期は損益+5億円

とバラバラになってます。


これでは経営者の経営判断を間違えさせる遠因にもなりかねません。


そこで、1年間で約24億円の社会保険料が掛かりそうだと予測できるのなら毎月2億円を社会保険料として計上します。


関(仮名)の日々雑感-管理会計
すると売上は毎月10億円、損益は毎月1億円と安定します。


その他にもイロイロありますが、

経営努力によらない費用の増減の波を抑えることで正確な経営判断ができるようにするやり方を管理会計と言います。


※あくまでも『1年間で24億円の社会保険料が掛かりそう』という予測ですので、実際には23億円になるかもしれませんし、25億円になるかもしれません。

その差については一時無視してデータを作成しますので“財務会計の損益≠管理会計の損益”となります。


税務会計とは税金を計算(税務署に申告)するときのデータです。

現在の税法では基本的に引当金は損金計上できません。

例えば財務会計で

売上 120億円

-----------

各種引当金 24億円

その他費用 84億円

-----------

損益 12億円

という結果になったとき支払う税金は

損益12億円×税率40%=税金4.8億円

となるはずですが、引当金は損金計上できませんので

売上 120億円

-----------

各種引当金 0億円

その他費用 84億円

-----------

損益 36億円

となり、税金は

損益36億円×税率40%=税金14.4億円
となるということです。


税法では「確定していない費用は損金計上してはいけない」という考え方なので当然『引当金』などは損金計上させてはいけないワケです。



《引当金の必要性について》


先に管理会計は“正確な経営判断のため”と書きました。

「経営判断って何だ?」という方は「とある会社(以下略:A社)の株主になった」と考えて下さい。


例)A社は株式公開会社で税務会計で決算報告をしています。


財務会計での決算数字を公示した場合

関(仮名)の日々雑感-A社1
となります。


第1四半期の公示、年間売上見込120億円、利益見込12億円なのに第1四半期で売上30億円(進捗率25%)、利益▼5億円(進捗率▼42%)を見て株主である貴方はどう考えるでしょうか?

『この会社は年間利益予算達成は無理』

と思うのではないでしょうか?


(財務会計は一気に飛ばして)管理会計で公示した場合


関(仮名)の日々雑感-A社3
となります。


第1四半期の公示では、売上30億円(進捗率25%)、利益3億円(進捗率25%)となります。

これであったら『年間予算達成はできる』と感じるでしょう。


ドチラも同じ経営数字であるにも関わらず、

「達成できない」

「達成できる」

と両極端の判断を招いてしまうのです。


こういった理由が引当金の必要性であると言えます。


《洗替法と切放法と差額補充法》



洗替法、切放法、差額補充法は伝票起票の際の方法論です。

法人税申告の際に別表四、別表五を作成するときだけ問題になりますが、結果は同じです。


賞与は

支払日が確定している。

支払が全対象者一斉である。

誰に幾ら払うか不明。

ことから洗替法を適用します。


退職金は

いつ払うか予想できない。

全対象者一斉に支払うわけではない。都度々々発生する。

誰に幾ら払うか大体明確。

ということから差額補充法を適用します。


例えば)

AさんとBさんとCさんの退職金として300万円を引当していたとします。

Aさんが今年度(4月)に自己都合で退職し、退職金100万円を支払いました。

Bさんが今年度(11月)に会社都合で退職し、20万円割増の退職金120万円を支払いました。

今年度Dさんが退職金受給対象者となり、50万円を新たに引き当てなければならない。

Bさんの退職金割増分20万円を引き当てなければならない。


前年度末退職金引当額    200万円

Aさん退職(4月)       -100万円

Bさん退職(11月)      -120万円

新規引当(Bさん、Dさん分)   70万円
退職引当金の移り変わり(総勘定元帳)は上のようになります。


Aさん、Bさんは、いつかは会社を去る日が来るでしょうが、その日が来月かもしれませんし、20年後かもしれません。
また、AさんとBさんに同時に払うわけでもないです。

ということです。



在庫の評価替えをする場合には洗替法か切放法かという選択になります。

在庫の評価買えは基本的に洗替法ですが、

一斉に評価替えするときは洗替法、都度々々評価替えするときは切放法でも構いません。



《余談》


私が経理をやっていたときは全部に関して洗替法を使いませんでした。

他の会社は分かりませんが、経営者という人たちは総勘定元帳や補助元帳なんて見ません。


試算表(貸借対照表、損益計算書)だけしか見ませんから試算表に全てのデータを盛り込む必要性がありました。


今は手形を割引に出すと手形を売ったという扱いにしないといけません。

10億円の受取手形の内6億円を割引に出したとき試算表では

①・・・・受取手形 4億円 /

資産の部に受取手形4億円(受取手形10億円-割引手形6億円)と表示します。


ところが実際には手形を担保にして銀行からお金を借りる行為(有利子負債)ですから

②・・・・受取手形 10億円  / 割引手形 6億円
と表示してました。


受取手形は現金化までの期間が長いというリスクがありますし、手形の割引も手形の振出先が倒産したら当社が支払わなければいけないのでリスクがあります。


社長が①の試算表を見たら「手形によるリスクは4億円のみ」と受け取ってしまう可能性があります。

ところが実際には「手形によるリスクが10億円、その内6億円は利子を払わなければいけないリスク」なので、それを認識してもらえるように②の試算表を作ったのです。


在庫についても、3億円の在庫、2億円の評価損であった場合

①・・・・在庫 1億円 /

となるところを

②・・・・在庫 3億円 / 在庫評価損引当 2億円

と表示しました。


ですので最多のときは

1、外部(銀行・株主)用①で作った試算表

2、内部(社長・重役)用②で作った試算表
3、内部(部門長)用の試算表

4、財務会計での試算表

5、税務会計での試算表

6、資金繰り・キャッシュフロー用

etc.etc.

と毎月7~8種類の試算表を作ってました。



大きく括ったデータを分解するのは面倒ですが、細分化したデータを組み替えるのは簡単なので洗替法を使わなかったのです。




こんな感じで良いッスか?(#⌒∇⌒#)ゞ