【せいちゃんファーストじゃない私】
せいちゃんファーストとか
言ってたくせに
全然ファーストじゃない。
私は自分のことばっかり考えてた。
少し体調がよくなると、
仕事のことばっかり考えてしまう。
これ伝えたい!
あれやってみたい!
目の前にいる
せいちゃんのことが抜け落ちている。
高熱で意識混濁していた
せいちゃんを見て
「もう笑ってくれなかったら
どうしよう?」
って泣きそうだったのに。
『せいちゃんファースト』
どうしたらファーストなんだろ?
そんことを
いろいろ考えていたら
母乳が出なくなってきてた。
高熱で
こまめに水分を欲しがるせいちゃん。
1時間半おきにくれと泣くのに
おっぱいが出ないから
余計に泣く。
ミルクは飲まない。
腱鞘炎が痛くて、抱っこもままならない。抱っこしてほしそうにするけど、できない。
気が付いたら
せいちゃんは私に笑いかけなくなった。
夫にはいつも通りに笑うのに。
笑ってもらえなくなると
途端に私の活力がなくなり
嫌われたかなという不安だけが
募っていった。
そして、それは苛立ちに変わり
おっぱい飲んで泣いたり
顔を引っ掻かれると
「やめてよ!」と大きな声をだしてしまう。
私の声にびっくりして
咳が止まらなくなり
せいちゃんは泣いてしまった。
見かねた夫が
私の膝からせいちゃんを抱き上げ
あやしてくれた。
寝かしつけなんて
数える程しかやったことがない夫。
でも、
大きなあったかい腕に抱っこされると
せいちゃんはゆっくりと
眠りに落ちていった。
安堵と感謝の気持ちと同時に
ああ、私はこの子がしてほしいこと
何も満たせてあげられない。
そう思った。
心の真ん中に穴が空いた。
数日後、
わたしもせいちゃんも回復した。
先輩ママや先輩助産師に
「子育ては、
目の前にある今を楽しむといいよー」
と言われた。
せいちゃんと遊びながらも
頭のなかは
「明日の夕飯何にしよう」
だった。
目の前にいるせいちゃんのことだけを
考えるのは意外と難しい。
主婦の頭の中は
子どものことだけ考えていられるほど
暇ではないのかもしれない。
だって、やるべきタスクがたくさんあるから。自分以外に手伝ってくれる人はいないから。
子どものことだけを考えることは
母親としてのあるべき姿なの??
それが母親なの??
うーん。なんか違う。
いろんなこと考えていい気もするけど、
うーん。わからない。
当時の私に伝えたいこと
あなたの中には
刷り込まれた理想の母親像みたいなのが
あった。
助産師として産後の知識はたくさんあったかもしれないけど、刷り込まれている母親像には全く気付いてなかったよね。
せいちゃんファーストなんかに
しなくていいんだよ。
自分ファーストでいいんだよ。
ママが元気だから
子どもも、家族も笑顔でいられるんだよ。
十分頑張っていたね。
もっと、
夫にも
周りに頼ってもいいんだからね。