すでに今月12日に新シーズンが開幕したプレミアリーグ 。
昨シーズンはコロナ感染拡大の影響で、長い中断を挟みながらも、何とか全日程を終えて、見事に我がリヴァプールが2位マンチェスターCに18ポイント差をつけて独走したまま、30年ぶりに悲願のリーグ制覇を成し遂げました。



7試合を残しての優勝は史上最速。
歴史に残るデッドヒートを演じて、クラブ史上最多勝ち点記録97をマークしながら1ポイント差で涙を呑んだ前年から、さらに勝ち点を上積みして99という驚くべき強さを見せてのぶっちぎり優勝でした。

マンCのように大量得点を重ね圧倒する勝ち方ではなく、引き分けかと思われた試合もしっかり終盤に勝ち切って、着実に勝ち点3を積み上げていった、まさに王者の勝負強さ、勝者のメンタリティに裏打ちされた不屈のチームの成熟した戦いぶりでした。


あの歓喜から約1ヶ月半。
昨シーズンの日程が大きく夏にズレ込んだこともあり、休息期間は短くなりましたが、例年より約少し遅れて無事に新シーズンの幕が開いたのは、ファンにとって喜ばしいことこの上ないです。


現状はまだ無観客での試合が続きますが、音響効果で臨場感をあおる演出など、選手たちが気持ち良くプレーできる環境作りもされていて、映像を観る限りでは段々違和感がなくなってきました。
でもやっぱり観客が早く入れるようになることを願います。
今のところイギリスでは観客を入れての試合は年明けまで延長されたようです。


さて新シーズンを30年ぶりにディフェンディング・チャンピオンとして迎えるリヴァプールはどんな戦いを見せてくれるのか。
今はワクワク感と興奮と、そして今後に向けての尽きない期待しかありません。

何といってもまずは主力メンバーの殆どが移籍などすることなく、引き続きリヴァプールでプレーしてくれること。


ロブレン、ララーナといった長年チームを支えてくれたベテランは、出番を求めてそれぞれゼニト(ロシア)、ブライトン(プレミア)に移籍しましたが、優勝を手土産に、彼らを笑顔で堂々と送り出せたのは、このチームが本当に団結した素晴らしい集団だということを示しました。





またコロナの影響でマッチデー収入などが減り、いくら強豪といえども財政面で苦境を強いられ、何人かのユース世代の若手選手は放出、或いはレンタルせざるをえませんでした。

リヴァプールは現オーナーに代ってから、財政と組織の健全化が進んでいて、オイルマネーによる何個かの金満クラブとは違い、チームに本当に必要なピースだけを適切な価格で獲得してきた実績があります。
アリソン、ファン・ダイクなど不可欠な選手には大金も使いましたが、理にかなった補強なのは結果が示しています。


今回の夏の移籍マーケットもいつも以上に慎重な姿勢で臨んでいて、当初からロバートソンへの負担が大きいとの懸念があったサイドバックのバックアップとして、ギリシャからツィミカスを獲得しただけでした。


そんな状況の中、一方で私個人としては、チャンピオンになった時だからこそ、多少無理をしてでも戦術の進化やチーム内の競争に大きなインパクトを与えてくれる大物選手の獲得が必要と思っていました。

リヴァプールはここ2年ほどはほぼ固定メンバーで戦ってきて、もちろんその成熟度は確固たるものでしたが、チームをさらに活性化して新たなモチベーションとハングリーさを生むためにも、レギュラー陣に真の意味で食い込む実力者、選択肢が必要だと思っていたのです。



ライバルチームは打倒リヴァプールを掲げて、新戦力も次々に加えて襲いかかってきます。
経年の疲労もある中で、現状維持だけではやはり不安要素もありました。

そんな中、ついに開幕直後にビッグニュースが舞い込みます。
昨シーズン終了前から噂のあったチアゴの加入です。



黄金時代のバルセロナでグアルディオラ監督に見出され、その後移籍した監督に請われてドイツへ。
そこでもその実力をいかんなく発揮して、昨シーズンはチャンピオンズリーグ制覇を果たした世界王者バイエルンのコンダクター。
スペインが誇る超一級マエストロの獲得は、飛び上がるほど嬉しいニュースでした。




チアゴ自身もクロップ監督率いるリヴァプールのサッカーに魅力を感じていて、新たな挑戦の場として入団を希望していました。
まさに相思相愛、これまでのリヴァプールの中盤にやや足りなかったインテリジェンスをもたらしてくれて、優勝の味を何度も知る勝者のメンタリティを持つ最適の男が加わった最高のディールです。
戦術の進化、チーム内競争へのインパクトも絶大です。



当初からリヴァプールに行きたいと言ってくれていましたが、財政上の問題で獲得が難しいのではないかとも言われていました。
新たなキャリアをプレミアリーグに求めていたチアゴは、もしもうちが獲得できなければ、マンCやマンUといった最も憎たらしいライバルどもに横取りされたかも知れません。
相手にするにはとにかく厄介な選手です。

それだけにクロップのラブコールが実現して、本当にチアゴがリヴァプールのユニフォームに袖を通してくれたことが心から嬉しく、興奮が今でも収まらない状態です。


そんなチアゴは、加入後いきなりの第2節チェルシー戦に後半から早くも登場し、その類まれなるプレーぶりを披露してくれました。
45分のみの出場にも関わらず、なんと75本ものパスを成功させ、中盤を支配しました。




前半終了間際にチェルシーが一人退場となり、数的有利はあったものの、プレミアデビュー戦からいきなり圧倒的な存在感を見せてくれました。
あのチアゴが我らがリヴァプールのユニフォームを着て、次々にノールックで左右にパスを繰り出す。
その姿に釘付けになり、夢でも見てるかのような恍惚の時間でした。
これをこれから何十試合も観られると思うと、楽しみが尽きません。
完成されたリヴァプールのサッカーを、彼がさらに進化させてくれる期待感で一杯です。




そしてチアゴの加入がまとまった直後、リヴァプールはさらに前線のバックアッパーとして、ウォルバーハンプトンからまったくそれまで噂にも上がっていなかった、若手のホープであるポルトガル人FWディオゴ・ジョタの獲得も決めました。



来月初旬に閉まる移籍マーケットの終盤に、一気に的確な補強を進めました。
ジョタは南野、オリギなどと共に、リヴァプールが誇るフロントスリーのバックアップとして強力な武器になるでしょう。


一方、南野は昨シーズン途中から加入して以降、カップ戦を含めて限られた出番の中で着実にチーム戦術に馴染んできて、新シーズン開幕前のコミュニティーシールドのアーセナル戦、そして今週行われたカラバオカップ3回戦のリンカーン・シティ(3部)戦でゴールを挙げて、前線の貴重なオプションとして存在感を増してきています。
また昨シーズン、ターンオーバーでのカップ戦などで飛躍的な成長を見せた期待の星、カーティス・ジョーンズも今季は出番がさらに増えるでしょう。



バルセロナのサッカーで育ち、ドイツで世界屈指のマエストロとなったチアゴ。
ポルトガルの若き有望株ジョタ。
世界に誇る既存のレギュラー陣に加えて、楽しみで仕方ない新戦力が加わり、さらに南野、ジョーンズといった選手たちが益々存在感を増してきた。


開幕2連勝の好スタートを切り、来週月曜の第3節は、アルテタ監督になってから勢いの増しているアーセナル戦。
現時点ではかなり手強い相手ですが、ホームだけにここで叩いておけばポールポジションに立って、シーズン序盤からこちらも勢いがつきます。
おそらく主将ヘンダーソンが怪我で欠場のため、チアゴはスタートから出て来るかもしれません。


連覇を目指す上で最大のライバルは間違いなくマンチェスターCになりますが、チーム力はほぼ互角。
ウチとシティの2クラブの力量が頭一つ抜けてると思うので、優勝争いは2つに絞られるでしょう。

しかし先述したアーセナル、そして昨シーズンは6位に甘んじたけどケイン、ソン・フンミンという計算できる強力ストライカーのいるトッテナム。
アンチェロッティ監督のもと、的確な補強で中盤に厚みが増したエバートンなどなど、ビッグクラブのみならず3位以下は混沌としているので、リーグ自体も楽しみです。
個人的には、この夏ここ数年なかった大型補強を敢行したランパード監督2年目のチェルシー、昨シーズン後半に加入したブルーノ・フェルナンデスの活躍で何とかCL出場権を得たマンチェスターUあたりは、まったく警戒必要なしと睨んでいます。
間違いなく力の差はあり、優勝争いのライバルに上がることはないでしょう笑。



いかに上位以外の戦いで取りこぼしを無くすかが、今季も鍵を握るでしょう。
勝ち点1ではなく、しっかり3をゲットし続ける。
実力拮抗のプレミアではかなりの難仕事ですが、クロップ監督が言っているように「我々は王座を守るのではなく、今シーズンまたタイトルを奪いに行くんだ」という言葉の通り、情熱を切らさず頂点を再び勝ち取ってほしいです。


とにかく考えただけで次の試合が楽しみでワクワクが止まらない、我がリヴァプールの20-21シーズンです。
また1試合だけでも現地に観に行けたらいいなー。



You'll Never Walk Alone.
頂点を目指して、今季も日本から一緒に戦います!