◆ボマルツァ怪物公園
ローマから車で約1時間ちょい、交通の便が悪く中々訪れる機会のない片田舎の町ボマルツァ。
写真では見たことあると思いますが、「聖なる森 Bosco Sacro」という名称ながら"怪物公園"として有名な謎の庭園がここにあります。
16世紀半ば、この地を治めていたオルシーニ家の貴族フランチェスコ王子が、最愛の妻を亡くした悲しみを癒すために作ったとも、オルシーニ家の当主ヴィチーノが訪れた者を驚かせるために「貴婦人と王たちがその欲するものを探し求め、迷うまで彷徨う」ラビリンスを作ったとも云われていて、これはどちらも同じ意味なのか、2つの説があるのかよく分かりません。
依頼を受けて実際に手掛けたのは、建築家のリゴーリオで、ミケランジェロの死後にサン・ピエトロ寺院の建築を引き継いだような有名な人だそうです。
当主の死後、忘れ去られ荒れ果てていたこの森(庭園)を、1954年にあるイタリア人が買い取り、400年眠り続けていたオブジェは修復され、怪物たちはめでたく蘇ったのだそうです。
おそらくギリシア神話をモチーフに作られてると思われます。
神秘的であり、不気味でもある深い森に囲まれた庭園自体は思ったほど広くなく、入口の門をくぐりしばらく順路に従って進むとオブジェが点在していて、一つを見てたら次のオブジェがすぐそばに現れるので、30体ちょっとありますが、ものの20分くらいで回れます。
何かの怪物を見てて、ふと顔を上げると、木陰から次の怪物の一部が見えてたりするので、一瞬ドキッとするかも。
そこにおったんかい!みたいな。
「ドラゴン」と「壺」
かなり劇画タッチです。
「ここの主」(勝手に付けました)
総じて少しデフォルメされていたり、滑稽な感じもして怖い感じは受けませんが、罰ゲームか何かで夜ここに一人で置き去りにされたら結構怖いでしょうね。
特に股裂き巨人のヘラクレスとか、大股裂きのエキドナとか(股間裂いてばっかり!)は、大きさが割りとリアルで気味悪さがあります。
入口を出て受付のある場所へ近づくと、遠くから巨人の呻き声のようなのが聴こえてきましたが、正体はコレでした。
何だか楽しそうな手相占い機です。
◆チヴィタ・ディ・バニョレージョ
ボマルツァから車で40分ほど、「天空の城ラピュタ」のモデルともいわれる、断崖絶壁に取り残された小さな町があります。
宮崎駿監督が実際に訪れたのは確かみたいなので、何らかのインスピレーションを得たかも知れませんが、本当のところは分かりません。
なんと2500年も前に作られた歴史ある町ですが、元々この地形の上に作られたのではなく、地震や自然の侵食によって台地が崩れて、長い年月をかけて今の状態になったのだそうです。
地震によって隣町への道も断たれた町には、現在は20人ほどしか住んでいないそうで、"滅びゆく町"とも云われています。
自然の城壁に囲まれたこの町へのアクセス方法は、約300mの細長い橋を渡るしかなく、今後も大地震などがあると崩壊の危険性があるそうです。
町の中は中世の面影を残す石畳の路地と城壁、古い教会などがあり、タイムスリップしたような感覚を覚えます。
その類を見ない情景が人気を呼び、観光客も増えていて、町にはレストランやバー、お土産物屋さん、そしてB&Bも一軒ありました。
町は狭いので、数十分で端から端まで散策できます。
断崖に取り残され、時間が止まったような廃墟の町。
どこかロマンチックですね。
しかしいざ町へ向かうため橋を渡るには、バス乗り場から階段と長い坂道を下りなければなりません。
下りるということは帰りは上るということ…。
しかも唯一の手段である長い橋も、かなりの上り坂が続きます。
一旦下りて、また上る。
結構な有酸素運動を強いられます。
これが意外とキツかった…。
ちなみに怒られそうですが「天空の城ラピュタ」は観てません。
み、観てないんかーい!!
ジブリ作品は、ナウシカ、トトロ、もののけ姫、千と千尋、カリオストロ、以上!
あとここをロケ地にした映画で「ホタルノヒカリ」というのもあるそうです。
◆オルヴィエート
ここはもう他でも何度も見てきた古い城壁の街。
チヴィタ・ディ・パニョレージョから車で30分ほどなので一緒に回れます。
ゴシック様式のドゥオーモはなかなか壮麗でした。
街並みも路地の入り組んだ中世風で、好きな人が多いはず。
また此処は白ワインの産地でも知られ、非常に飲みやすいワインだったので、ランチでは珍しく2杯も飲んでしまいました。
おかげで帰りの車中はぐっすり。
ちなみに洞窟のような穴蔵を改装した素敵なレストランでした。
怪物公園も天空の町も、正直「絶対行くべき!」とまでお薦めできる感じでもなかったですが、都会から離れてこういう田舎の風景に溶け込んで新鮮な空気を吸って、そこで生きる人たちの暮らしに目線を合わせて、まるでタイムスリップしたかのように時間を忘れてみるのは、旅には欠かせない要素だなと思いました。