あるお店に行く時、バスを利用する。
その日の夜も、バスに乗り
終点のターミナル駅を
目指していた。
スマホでお店検索などを
していると、運転手が
降りる乗客一人一人に何か
声をかけているのが聞こえる。
バスの運転手のアナウンスは
大抵不明瞭で聞き取り辛いので、
何と言っているのか、はっきりしない
のであるが、
「どれいかっ!?」
と言っているようにしか聞こえない(笑)
確かに我々一般市民などは
自覚も無く飼いならされた
奴隷に過ぎない存在かもしれぬ。
しかし、そんなことを
バスの運転手に指摘される
筋合いでもない。
しかし運転手は、冷酷にも
乗客一人一人に
奴隷かっ!奴隷かっ!奴隷かっ!
と暴言を吐き続けている(笑)
何度聞いても、そのようにしか
聞こえないのである。
私はついに笑いをこらえきれず
肩を震わせて、必死の思いで
終点までの拷問に耐えた。
私が降りる時にも運転手は
奴隷かっ?
と聞いてきた。
欲望の奴隷
私はその軛から解放されることを
望んではいない。
本物の奴隷というのは、
そういうものだ。