初雪の降ったその晩、私は
「氷の女王」に、会いに行った
誰かが掲示板で、彼女のことを
そのように呼んでいた気がするが
今はもう定かではない
案内を求めた電話の声は硬い
初対面での印象は、何というか
ドライな印象であった
不審なところがないかどうか
私を見定めているようだが
実際は違う何かを見ているようだ
シャワーを浴び、
何も身につけずに
台に横たわる
オイルの時点で、かなり
際どい施術ではあったが
後半は更に怒涛の如く
責め立てられる
冷え切っていた身体が
欲望に火を点けられ、沸騰し
一気に燃え上がるようだった
だが、私の心は
何故か冷めていた
彼女の施術を
言葉で表現するなら
「無慈悲」「非寛容」
決められた、マニュアル通りに
全ては行われている
感情の動き、心の通い合い
そういうものは一切無い
官能という炎に焼かれ
苛まれる私の様子を
じっと見つめている
彼女の身体にも、心にも
触れることは許されない
まさしく「氷の女王」である
私は尻尾を巻いた犬のように
再び寒風吹き荒ぶ街中を
湿った雪に足をとられつつ
よろめきながら、歩いて帰った