ポイントカードを見ると、最後に訪問したのが
7月になっている。今年ではなく、昨年だ。
駅からお店までの通りは並木道で
ほとんどの木がイルミで装飾されている。
昔は駅前だけだった気がするが、だんだんと
範囲が広がったようだ。
年の瀬の時期、そんなものを見ても
何の感慨も無いが、今日はお店に着いたら
イルミが綺麗だったよ、と
あの人に言おうと思った。
あの人とは、お店のママだ。
童顔に峰不二子も裸足で逃げ出すような
ナイスバディの持ち主。
数年前、初めて逢った時から
すっかり魅了されて、足繁く通った。
マッサージのスキルは超一流だ。
私の首と肩は、ママ以外の人で
満足に解されたことはない。
健全な施術だが、男心も分かっている。
がっつり身体を解した後、同じ指先が優しく肌を
滑り、心も癒してくれる。
しかしやがて健全なお店には、
少しずつ訪れる頻度が減ってゆき・・・
一年以上も無沙汰してしまったというのに、
満面の笑顔で迎えてくれた。
ママは少しも変わりない。
可愛らしい顔にセクシーな体型
そしてゴッドハンドも。
私の身体の問題点も、すべて覚えていてくれた。
至福、という言葉に相応しい時間が流れる。
何故もっと早く来なかったのだろう。
いつでも行ける、と思いつつ一年過ぎてしまった。
そう思いつつ、逢えなくなってしまった人も
数多くいたというのに。
帰り道、人通りも少なくなった中を足早に歩く。
駅から並木道を振り返ると、
煌びやかなイルミに、ママの面影が重なった。
いつか、この道をママと一緒に歩きたい。
初々しい高校生のように、手も繋がずに歩きながら
一緒にイルミを眺めたい。
そう、思った。