春季近畿大会・準決勝、智弁学園(奈良)対報徳学園(兵庫2位)を観戦に明石トーカロ球場に足を運んだ。
智弁学園は春8・夏16回合計24回、報徳学園は春18・夏14回合計32回の甲子園出場を誇る近畿屈指の強豪校同士の対戦。
収容人員12,000人という明石トーカロ球場では持て余しそうな対戦カードであったが、客席は十分に足りていた。
関東大会や神奈川大会でこのクラスの強豪校同士の対戦なら明石トーカロ球場ではキャパオーバーするだろう。
智弁学園は背番号9・小野耀平を先発マウンドに送り出した。
昨秋の明治神宮大会(鳥取城北戦)でも小野の投球を観戦しているが、スライダーの切れ味は鋭さを増した印象である。
1回裏、一死2塁と得点圏に走者を背負い3番・永岡駿治をスライダーで見逃し三振。
4番・吉田昌也を同じくスライダーで空振り三振を奪い、立ち上がりのピンチを切り抜けている。
智弁学園・小坂将商監督は「今でも高校生の球は僕でも打てる。でも、小野のスライダーは打てない。アイツのスライダーは相当切れる」と評する。
報徳学園はエース・田村伊知郎では無く、2年生の背番号11・乾陽平を先発マウンドに送り出した。
投球のほとんどはストレートではあるが、時折スライダー、カーブを投げ込んでくる。
左腕を利用して壁を作り、右腕が遅れて出て来るから打者の体感速度は球速表示以上に感じるだろう。
2回と6回ともに失策絡みで失点。しかし昨秋近畿王者相手に被安打6、自責点0という投球内容であった。
夏の兵庫県大会ではエース田村とともに投手陣を支える存在になるだろう。
6回裏、報徳学園は代打・佐渡友怜王の右翼ポール際への2点本塁打で同点に追い付いた。
続く3番・永岡は左前安打、盗塁で二塁進塁。4番・吉田が死球。一死1・2塁と勝ち越しのチャンス。
智弁学園は小野からサウスポー丸野綾太に投手交代。
5番・片濱大輝の打球は三塁ベンチ前への捕手邪飛。三塁手・北阪真規も打球を追ったため三塁ベースが空いた。
永岡が三塁ベースの空きを確認して3塁を陥れに掛かり、1塁から吉田も2塁に進塁を図った。
捕球した中道勝士は三塁が間に合わないと瞬時に判断。2塁へストライク送球して吉田を間一髪で封殺。
報徳の高い集中力と走塁意識、智弁の守備判断力と送球技術が一瞬でぶつかり合ったプレイであった。
試合は2-2のスコアで延長戦に突入。10回終了後にグランド整備が行われる運営は好感が持てる。
11回表、8番・小田原大樹、1番・浦野純也の安打で一死1・2塁と勝ち越しのチャンスを迎える。
2番・山口悠希が四球で一死満塁。3番・青山のセンターへの犠飛で智弁学園が3-2と勝ち越しに成功。
更に智弁学園は4点を加えて、7-2で報徳学園を下した。
前述の6回裏の捕手邪飛からの報徳の進塁、智弁学園・中道の送球に両校の高い意識と技術が凝縮されていた。