駒大が1部昇格 | アマチュア野球をめぐる旅。

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高校野球を中心にアマチュア野球(ときどきプロ野球)の観戦記。

東都大学・秋季1部2部入替戦、国士舘大(1部6位)対駒澤大(2部優勝)を観戦に神宮球場に足を運んだ。

今春昇格した国士舘大は春季リーグこそ5位で1部に残留したが、秋は中央大から一勝を挙げたのみ。
敗戦の10試合中、一点差が4試合、二点差が2試合という惜敗が相次いだ国士館大の秋季リーグ戦。
2勝10敗、勝ち点0の最下位に沈んだ国士舘大は一年前とは正反対の立場で入替戦に臨む事になった。


「国士舘昇格!」(弊ブログ・09年11月9日付け記事)
http://ameblo.jp/go-baseball-studium/entry-10383923697.html


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12時試合開始の入替戦


2部優勝から入替戦に臨む駒澤大は1部優勝26回を誇る大学球界屈指の名門。
野村謙二郎(広島カープ監督)、高橋尚成(メッツ)、新井貴浩(阪神)などプロ選手を多数輩出。


二年前の2部降格以来昇格を果たせず、今季は開幕を三連敗でスタートするなど低迷が続いていた。
最終節、立正大戦は勝てば優勝、連敗すると最下位に転落の可能性まである大混戦の中での優勝。

苦しんだ末での優勝で臨んだ昨日の入替戦は4-0で勝利して、駒澤大は1部昇格に王手をかけていた。


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駒澤の先発・井口


駒澤大の先発は井口拓皓(2年・市川越)。2部優勝を決めた立正大戦では完封勝利を収めている。
井口は高校時代、二年生の夏の大会で優勝候補・春日部共栄を相手に勝利。
三年生の春の大会ではセンバツ準優勝・聖望学園を決勝で破って優勝の原動力になっている。


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先制適時打を放った白崎浩之


駒澤大は初回、2番・赤木義英(4年・崇徳)の右翼フェンス直撃の二塁打で得点圏に進む。
3番・白崎浩之(2年・埼玉栄)が初球を中前適時打で先制点を挙げる。鮮やかな先制攻撃であった。

ちなみに白崎も井口同様に高校時代は埼玉県内では注目を集めた大型遊撃手であった。
岩見沢シニアでは投手兼遊撃手、二年生の時にジャイアンツカップに出場している。
高校はプロ入りを目指して埼玉栄に北海道から野球留学。一年生から中心選手として活躍した。


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安堵と歓喜の表情が入り交じった駒澤ナイン


初回の駒澤と国士舘の攻防で明暗を分けたシーンがある。

国士舘大は先制を許した直後の攻撃で二死から3番・宮川翔太(3年・千葉経大付)が四球で出塁。
4番・井上雄貴(2年・国士舘)、5番・大城亮(3年・中部商)が連続安打で二死満塁の好機を迎える。
6番・丹澤賢(2年・甲府工)はセンター頭上を襲う鋭い打球を放った。
しかし、抜けていれば走者一掃という打球を小林勇登(2年・北海)が手を伸ばして見事に捕球。

駒澤昇格に大きく貢献した井口の好投を序盤で演出した好守備であった。


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試合後、神宮球場の入り口付近は駒澤の歓喜が爆発


駒澤、国士舘ともに走者を出すもののゼロ行進が続いて、試合は八回裏を迎える。
国士舘大は一死後、大城が右前安打で出塁。駒澤大は井口から白崎勇気(3年・駒大岩見沢)に継投。

しかし、駒澤の投手交代が完全に裏目出る。
二死後、7番・青山直樹(4年・市船橋)右前適時打で同点に追い付く。本塁送球の間に二塁へ進塁。
更に8番・西川元気(3年・桐光学園)は右翼フェンス直撃の三塁打で一気に逆転に成功する。

好投を続けた井口に代えて昨日完封勝利を挙げたエース白崎で逆転を許し、駒澤は最終回を迎える。
駒澤は敗戦、国士舘は勝利の二文字が脳裏を霞めたのではないだろうか。


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駒大OB会長・中畑氏も駆け付けた


九回表、駒澤大は一死後、8番・上村新(4年・広陵)が内野安打で出塁。
森田哲平(4年・市銚子)を代打に送ると、国士舘大は先発、屋宜照悟(4年・中部商)を交代。

プロ志望届を提出していたサウスポーの樋口裕史(4年・富士見)をマウンドに送る。

“代打の代打”平川昇(3年・埼玉栄)の二塁ゴロがファンブルを誘い出塁。一死、一塁二塁。
1番・岡将吾(3年・西日本短大付)が右翼線への二塁適時打で同点に追い付き、延長戦に突入。


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胴上げされるキャプテン笠間将裕


延長十回表、駒澤大は二死一塁三塁、勝ち越しのチャンスを迎える。
中谷泰周(2年・八頭)の左翼への打球は前進守備の頭上を越えて、勝ち越しの二点適時打になる。

このリードを守り切って、4-2で延長戦を制した。駒澤大は6季ぶりの1部昇格を決めた。

最終回のマウンドを任された村上浩一(1年・八千代東)は昨夏甲子園に出場した一年生投手。
ダークホースの八千代東の甲子園初出場の立役者である。


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試合後のスコアボード


東京六大学に優勝が懸かった早慶戦があるように、東都大学の入替戦にも真剣勝負の醍醐味がある。
それにしても、東都大学リーグは「戦国」という言葉がよく似合う。
昨年下克上を果たした国士館大は僅かに2季一年間を1部で戦ったのみで2部に降格。

春季の入替戦では立正大、秋季の入替戦では国士館大が2部降格。
タフで過酷な戦国東都は一年間で二校が昇格を果たし、二校が降格の憂き目に遭う。
春季で降格した立正大は昨年秋の明治神宮大会の優勝校であるが、2部から還って来る事はなかった。

戦国東都、来年はどのようなドラマが待ち受けているのだろうか。


「青学降格…。」(弊ブログ・09年11月10日付け記事)
http://ameblo.jp/go-baseball-studium/entry-10384816174.html