早慶戦は優勝決定戦に | アマチュア野球をめぐる旅。

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高校野球を中心にアマチュア野球(ときどきプロ野球)の観戦記。

東京六大学・早慶戦を観戦に神宮球場に足を運んだ。

早慶戦を迎える段階で早稲田大は慶応大から1勝を挙げれば4季ぶりの42回目の優勝。
慶応大は早稲田大に2連勝する事が唯一優勝決定戦に持ち込めるという条件。
勝ち点で勝り、ドラフト一巡目指名の豪華投手陣を擁する早稲田有利というのが一般的な戦前の予想。


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平日開催でも早慶戦はこの混み具合


しかし、早稲田大は斎藤佑樹(4年・早稲田実)で初戦を落とした。
斎藤の調子が上がらない様子であった事に加えて、早稲田打線は湿りがちで援護無く0-2で敗れた。

試合内容も終始早稲田大が押され気味の展開に優勝決定戦に縺れ込む可能性が見えたような気がした。
ちなみに斎藤は昨秋から先発した早慶戦は4連敗となった。


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早稲田の先発・福井優也


早稲田大は福井優也(4年・済美)、慶応大は福谷浩司(2年・横須賀)を先発マウンドに送り出した。

福井は二年生時04年センバツ優勝、夏の甲子園でも準優勝。更には三年生の夏にも甲子園に出場。
高校卒業時は巨人から指名を受けている(入団拒否)。
浪人して早稲田大に入学。今秋のドラフト会議では広島から一巡目で指名されている。

福谷は横須賀(愛知)では最速145㌔の本格派右腕、打撃では四番打者として投打に大車輪の活躍。
甲子園出場こそないが、愛知県内では注目を集めた逸材。プロ志望届を提出したが、指名漏れしている。
AO入試で慶応大を受験し、理工学部に現役合格を果たしている。

好対照なキャリアを積み上げた二人が、両校の先発投手を担っているのも六大学の魅力のひとつ。


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慶応の先発・福谷は完投した


慶応大は初回、伊藤隼太(3年・中京大中京)の適時打で先制点を挙げる。
早稲田大は二回に市丸大介(3年・佐賀北)のプッシュバント(内野安打)で同点に追い付く。

両投手が落ち着きを見せ、ロースコアのゲーム展開を予想したが、本塁打攻勢で慶応が試合を決定付けた。
三回に山﨑錬(2年・慶応義塾)の右翼スタンドに三点本塁打で4-1と慶応が勝ち越す。
更に四回には福谷が左翼スタンド中段に飛び込む二点本塁打で6-1と突き放し、慶応ペースの試合展開。


福井は威力あるストレートに鋭い変化球等、ドラフト一巡目の力量を発揮したが、ムラが大きかった。
良いボールと悪いボールが明解に別れていたが、慶応打線がよく見極めているのが印象的であった。
ただし、慶応側の観客席から溜め息が出る程、素晴らしいストレートがあった事も付け加えておきたい。


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途中から照明が点灯した今日の早慶戦


試合は7-1で慶応大が二連勝で勝ち点、勝率ともに早稲田大に並んだ。

今季は法政大・東大戦で先勝されたが、2回戦は福井が勝利を挙げて態勢を立て直していた。
應武監督は「福井が立て直してくれるのを期待したが、見ての通りで自滅」というコメント。


優勝決定戦が行われるのは20年ぶり、更には早慶戦による優勝決定戦は50年ぶりとなる。


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試合後のスコアボードには「優勝決定戦」のご案内


優勝決定戦の先発投手については「白紙で考える」と應武監督。
今季は3回戦の先発マウンドにはすべて斎藤を送り出しているが、追い込まれた早稲田は先発マウンドに誰を送り出すのだろうか。