仙台育英 対 慶応義塾(創部80周年記念招待試合) | アマチュア野球をめぐる旅。

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仙台育英・硬式野球部 創部80周年記念招待試合の第一試合、仙台育英対慶応義塾戦のレポートを。
仙台は最高気温が24℃、湿度は65パーセント前後と絶好の野球日和であった。
まず両校の今季のチームの戦績を簡単に紹介したい。


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仙台市民球場の一塁側スタンド最深部より



仙台育英は宮城大会の決勝でライバル・東北に敗れ、準優勝で東北大会へ出場。
歳内宏明を擁する聖光学院を準々決勝でサヨナラ本塁打という劇的な勝ち方で準決勝に進出。
センバツ出場の懸かった準決勝・光星学院には敗れたものの東北大会ベスト4という戦績。
東北は二校が選出される為、例年通りの選考であれば仙台育英のセンバツ出場は厳しい。


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慶応スタイルのユニフォーム同士の対戦



慶応義塾は秋季大会を横須賀総合に1-3で敗れて三回戦敗退で終わっている。
選手の能力を考えれば、伏兵に足元をすくわれた早過ぎる敗戦であった。

宮城と神奈川、戦っている地区やトーナメントだけに一概に戦績だけで両校を比較は出来ないが、
一週間前までセンバツ出場を懸けた戦いに身を置いた仙台育英、
来春に向けて既にリスタートしている慶応義塾。

好対照な秋季大会を過ごした両校、対戦として興味深い一戦である。


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由規や田中一也に似て見える一年生エース渡辺(仙台育英)


変則ダブルヘッダーという選手起用の難しい試合であるが、
第一試合に両校は仙台育英・渡辺郁也、慶応義塾・三宮舜というエースピッチャーを送り込んで来た。

試合は一回、パスボール・適時打・併殺崩れ等で慶応義塾が3点を先制。
仙台育英の先発・渡辺郁也は低めに決まるストレートに鋭さがある一方で
変化球は腕の振りがストレートとは明らかに異なり、経験の浅さや今後への課題を露呈していた。

三回、二死後に三塁ゴロを暴投。その後、適時打で1点を慶応義塾が追加する。
慶応義塾は投げても三宮舜が伸びのあるストレートにカーブ、スライダーを交えて仙台育英打線に
付け入るスキを与えなかった。序盤は完全に慶応義塾が試合を支配していた。


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慶応の三宮は完投勝利


四回、好投を続けていた慶応義塾・三宮を仙台育英打線が攻略する。
千葉諒祐、小竹悠樹の適時打で3点を返し、一点差にまで追い上げる。

三宮は走者を置いたセットポジションからの投球に課題があるように見受けられる。
一塁への牽制球の上手さからもクイックモーションの高い意識を十分に感じられる。
しかし、その功罪として体の開きが早く、ワインドアップの際とは重心移動が大きく異なっている。

力の入れたストレートは高めに浮き、奇麗に打ち返されていた。
東北大会で聖光学院・歳内を攻略した仙台育英打線の地力の片鱗を垣間見たような気がする。


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試合後、ネット裏にまで挨拶をする仙台育英


試合展開をイニング毎に簡単に紹介してみたい。

慶応義塾は五回に斎藤大輝の左中間を破る適時二塁打、三宮の左前適時打で合計2点を加える。
更に六回、沓掛祥和の右翼犠飛でタッチアップで1点を加えた。

仙台育英は何度か得点機を作ったものの、八回に押し出しで1点を返すのが精一杯であった。
結局、試合は7-4で慶応義塾が仙台育英を下した。


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試合終了後のスコアボード


試合会場に配布された小冊子に「仙台育英学園高等学校チーム紹介」が記されていた。
『今年夏に出場した甲子園のメンバーから総入れ替えのチームで、甲子園のメンバーを支えたスーパーサブ軍団です。派手さがなく、攻守に粘り強いのが特徴であり、投手陣の成長とともにチーム全体が逞しくなることを期待しています。』