大会前から夢の対戦として注目された坂本勇人(巨人)対斎藤佑樹(早稲田大)は冒頭で実現した。
日本一に輝いた球界の盟主・巨人のリードオフマンと夏の甲子園を制して日本中を熱狂させた右腕。
同級生ながらこれまで交わる事が無く、違う道のりを歩んで辿り着いた今回の対戦。
坂本は「高校の時は注目度が違ったけど、今はプロでやっている意地もある」と語っていた。
偽らざる坂本の心境ではないだろうか。斎藤にとってもプロ入りを睨み力量を計るには絶好の試金石。
二人の成長曲線、現状でのプロとアマの力量を見定める等、非常に興味深い対戦である。
試合前にはホームベースを挟み挨拶をしていた。
1球目、外角高めへの146km/hのストレートでストライクを奪う。
2球目、外角高めの直球がファウルとなり、2-0と坂本追い込んだ。
ちなみに、捕手・小池翔大(青山学院大)は外角低めを要求していた。
3球目、外角低めのスライダーに踏み込まれ、坂本のヒットゾーンである三遊間を奇麗に破られた。
小池は体ごと外角に移動。外角低めのストライクから外れたゾーンにミットを構えていた。
プロで培った失投を見逃さない坂本の成長とプロの厳しさを斎藤は体感出来たのではないだろうか?
二番・松本哲也(巨人)を四球で歩かせ、三番・天谷宗一郎(広島)を併殺打で、二死三塁とする。
四番・新井貴浩(阪神)を2-2と追い込んでから小池のサインに二度首を振りプレートを外す。
長いサイン交換の後、小池の構えた外角低めから程遠くストレートが真ん中高めに入ってしまう。
甘い球を新井は見逃さず、打球は一二塁間をしぶとく抜けて適時打となった。
結局、大学日本代表唯一の失点になってしまった。
小池が外側に構えているのは、ネット裏三塁寄りでも良く分かった
斎藤は高校時代から何度も観ているが、大学入学以降、年々投球フォームに安定性を欠いている。
ステップする左脚への重心移動の不安定さが大きな原因である。
体重が左脚に乗って来ないから、投げ終わってから「立ったまま」のような状態になっている。
高校時代にも時折見られた特徴ではるが、頻度が高くなり安定性に乏しい。
斎藤が解決しなければならないポイントは単純であるがゆえに早期解決が求められる。
現行のフォームで140km/hを計測するのは斎藤の上体の強さの賜物だと推測できる。
もう一度、夏の甲子園での躍動するような斎藤の投球フォームを観てみたい。