大阪フィルハーモニー交響楽団
第572回定期演奏会
【日時】
2023年10月20日(金) 開演 19:00
【会場】
フェスティバルホール (大阪)
【演奏】
指揮:尾高忠明
ヴァイオリン:岡本誠司 *
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
(コンサートマスター:崔文洙)
【プログラム】
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調 K.216
ウォルトン:交響曲 第1番 変ロ短調
※アンコール(ソリスト) *
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第1番 ト短調 BWV1001 より 第2楽章 フーガ
大フィルの定期演奏会を聴きに行った。
指揮は、1947年鎌倉市生まれ、2018年より大フィルの音楽監督を務める指揮者、尾高忠明。
ソリストは、1994年千葉県市川市生まれ、2021年ARD国際音楽コンクール(ヴァイオリン部門)優勝のヴァイオリニスト、岡本誠司。
前半のプログラムは、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番。
この曲で私の好きな録音は
●J.フィッシャー(Vn) クライツベルク指揮 オランダ室内管 2005年4月セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube1/2/3)
●I.ファウスト(Vn) アントニーニ指揮 イル・ジャルディーノ・アルモニコ 2015年3月21-23日、2016年2月4-8日セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube1/2/3)
あたりである。
前者はモダン楽器のスタイル、後者はピリオド楽器のスタイルとして、それぞれ最高峰のクオリティを誇る演奏だと思う。
今回の岡本誠司の演奏は、これらの名盤のようなあらゆる音の彫琢、アーティキュレーションの洗練、音程の精密さはなかったけれど、モーツァルトだからといって下手にすっきりさせない厚めの音、濃い表現が、どことなくヨーロッパの味を感じさせた(第2楽章が良かった)。
また、各楽章に付されたカデンツァが、自作なのかどうなのか、どれも本編のメロディをバッハの無伴奏曲風に多声でパラフレーズし、かつロマン派風にリハーモナイズしていたのが面白かった。
後半のプログラムは、ウォルトンの交響曲第1番。
この曲で私の好きな録音は
●ボールト指揮 ロンドン・フィル 1956年8月15-17日セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube1/2/3/4)
●ハイティンク指揮 フィルハーモニア管 1981年セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube1/2/3/4)
●ギブソン指揮 スコティッシュ・ナショナル管 1983年9月16-19日セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube1/2/3/4)
●トムソン指揮 ロンドン・フィル 1990年2月23,24日セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube1/2/3/4)
●ガードナー指揮 BBC響 2014年2月3,4日セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube1/2/3/4)
あたりである。
この曲はブルックナーの交響曲第5番のようなもので、二管編成と決して大きくない楽器編成にも負けず、しっかりと金管を鳴らしてスケールの大きさを感じさせてほしい。
ブルックナーの交響曲第5番におけるクレンペラー盤のような巨大スケールの絶対的名盤は見つけていないが、上記の5種の盤はいずれもかなりいい線行っていると思う。
今回の尾高忠明&大フィルの演奏は、金管の鳴らしぶりは悪くないものの、音楽の流れはあっさりしていて、スケールの大きさを堪能するまでには至らなかった。
特に第1楽章は、金管のどれかの声部を強調するなり、タメやクレッシェンドを駆使するなりして、もう少し盛り上げてくれたほうが好みである。
そうしないのが彼らしいともいえるが。
ただ、終楽章コーダなどは、生演奏でしか伝わらない2人ティンパニの打撃の迫力をひしひしと感じた。
それに何より、大フィルのヴァイオリン群がいつもながらうまい。
第1楽章再現部の主要主題や、終楽章のフガート部分での、ヴァイオリン群のパキッとした明るい音色には、はっとさせられた。
こういうオーケストラが身近にいることの有難さをつくづく思う。
(画像はこちらのページよりお借りしました)
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