近江の春 びわ湖クラシック音楽祭2022 01-3
【日時】
2022年5月1日(日) 開演 13:00 (開場 12:15)
【会場】
びわ湖ホール 大ホール (滋賀県)
【演奏】
指揮:高関健
ピアノ:牛田智大 *
管弦楽:京都市交響楽団
(コンサートマスター:豊嶋泰嗣)
【プログラム】
ショパン:ピアノ協奏曲 第2番 ヘ短調 作品21 *
ビゼー:アルルの女 第2組曲
びわ湖ホールで開催された、近江の春音楽祭を聴きに行った。
二公演聴いたのだが、その一つ目がこちら。
オーケストラは京響、指揮は高関健。
ソリスト(ピアニスト)は、牛田智大が担当した。
彼の実演を聴くのはこれで3回目。
→ 1回目 2015年大阪公演 (記録のみ)
前半の曲は、ショパンのピアノ協奏曲第2番。
この曲で私の好きな録音は
●ポリーニ(Pf) 井上道義指揮 シュトゥットガルト放送響 1973年頃ライヴ盤(CD)
●小林愛実(Pf) プリマ・ヴィスタ弦楽四重奏団 2011年1月13日ショパンコンクール in Asiaライヴ盤(CD) ※弦楽四重奏伴奏版
あたりである。
実演では山本貴志のものが忘れがたく(その記事はこちら)、私の中ではこの3つの演奏が特別な存在となっている。
また、これらに次いで好きな盤がいくつかあるのだが、その一つに以下のものがある。
●牛田智大(Pf) プリマ・ヴィスタ弦楽四重奏団 2012年1月13日ショパンコンクール in Asiaライヴ盤(Apple Music) ※弦楽四重奏伴奏版
牛田智大12歳時の演奏で、みずみずしい情感が魅力。
それから10年たった今、彼の演奏はどのように変化したか。
より劇的な、青年らしい凛々しい演奏となっていた。
第1楽章のコデッタや展開部での、畳みかけるような情熱的な表現が印象的で、彼の音楽的成熟が窺われた。
彼の音は、どれだけ激しようとも汚くならず、美しく鳴りきるのが特長。
一方、情感面については、よりストイックな解釈となったように思う。
第1楽章の第2主題、特に再現部におけるそれは、上述の山本貴志の演奏で聴いた際にはその哀しくも美しい表現に涙が止まらなかったのだが、今回の牛田智大は、あまり歌いすぎないように自身を律しているように見えた。
有名な第2楽章も、12歳時の彼の甘く素直な情感とは異なる、甘さよりも風格を重視したような、巨匠風ともいえるような歌い口だった。
終楽章も、山本貴志や小林愛実だと、単なる下行音階でここまで人を泣かせるか、という溢れんばかりの情感が聴かれるのだが、今回の牛田智大はむしろそういう表現を嫌うかのようだった。
それよりも、見過ごされがちな内声部を丁寧に強調するなど、ショパンの書いた一音一音をゆるがせにすまいというストイックな姿勢が見て取れた。
甘党の私にはちょっとすっきりしすぎているようにも感じられたが、これはこれで彼らしくノーブルで良い。
後半の曲は、ビゼーの「アルルの女」第2組曲。
この曲はあまりにも有名だが、逆に好きな録音がぱっと思い浮かばない。
今回の高関健&京響の演奏は、特別な美しさを感じたかというとそうではないけれど、そつなくまとめられていたように思う。
↑ ブログランキングに参加しています。もしよろしければ、クリックお願いいたします。