今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。
好きな指揮者、ヤクブ・フルシャの来日公演予定の記事を先日書いて思い出したのだが(その記事はこちら)、彼の新しい演奏動画が少し前にアップされたのだった。
動画はこちら(アカウント作成しログインすれば無料で全曲視聴可)。
→ https://www.medici.tv/en/concerts/jakub-hrusa-conducts-mahler-symphony-9/
2022年1月16日 フィラルモニ・ド・パリ (フランス)
ヤクブ・フルシャ(指揮)、バンベルク交響楽団
マーラー:交響曲 第9番 ニ長調
マーラーの交響曲第9番で私の好きな録音は
●ワルター指揮 ウィーン・フィル 1938年1月16日ウィーンライヴ盤(NML/CD/YouTube1/2/3/4)
●ブーレーズ指揮 シカゴ響 1995年12月セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube1/2/3/4)
●ナガノ指揮 ハレ管 1996年6月9日東京ライヴ(動画)
●アバド指揮 ベルリン・フィル 1999年9月ベルリンライヴ盤(NML/Apple Music/CD/YouTube1/2/3/4)
●カンブルラン指揮 読響 2018年4月20日東京ライヴ盤(CD、その記事はこちら)
あたりである。
そして今回のフルシャ&バンベルク響の演奏動画は、これらの名演に匹敵するといっても過言でないように思う。
ブーレーズ、カンブルラン、ナガノの演奏が、硬派で透徹した曲の読み、響きの透明感を特徴とするのに対し、ワルター、アバド、フルシャの演奏は、柔和で慈愛に満ちた解釈、響きの色彩感を特徴とする。
ワルター盤における1938年のウィーン・フィル、またアバド盤における1999年のベルリン・フィルは、これら二大オーケストラの全盛期の一つと言ってよく、これぞヨーロッパというべき震いつきたいような美しい音色は、後年のワルター/コロンビア響盤、アバド/ルツェルン祝祭管盤でさえ達し得なかったものである。
そしてフルシャは、バンベルク響というやや渋いイメージのあるオーケストラから、ウィーン・フィルやベルリン・フィルと全く同等の華やかさとは言わないにしても、かなりのところまで迫った美音を引き出しているように思う。
ワルター/ウィーン・フィルによる伝説的なライヴから84年後のちょうど同じ日に繰り広げられた、秋晴れのようにさわやかで優しい演奏。
消え入るような最終音の後の、祈るようなフルシャの手の動きに至るまで、何とも感動的である。
なお、前回の演奏動画もぜひ(下記リブログ元の記事)。
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