映画「浜の朝日の嘘つきどもと」 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

浜の朝日の嘘つきどもと

 

【劇場公開日】

2021年9月10日

 

【解説】

福島県南相馬に実在する映画館を舞台に、映画館の存続に奔走する女性の姿を描いたタナダユキ監督のオリジナル脚本を高畑充希主演で映画化。100年近くの間、地元住民の思い出を数多く育んできた福島県の映画館・朝日座。しかし、シネコン全盛の時代の流れには逆らえず、支配人の森田保造はサイレント映画をスクリーンに流しながら、ついに決意を固める。森田が一斗缶に放り込んだ35ミリフィルムに火を着けた瞬間、若い女性がその火に水をかけた。茂木莉子と名乗るその女性は、経営が傾いた朝日座を立て直すため、東京からやってきたという。しかし、朝日座はすでに閉館が決まっており、打つ手がない森田も閉館の意向を変えるつもりはないという。主人公・莉子役を高畑が演じるほか、大久保佳代子、柳家喬太郎らが顔をそろえる。本作と同じタナダユキ監督&高畑充希主演で、福島中央テレビ開局50周年記念作品として2020年10月に放送された同タイトルのテレビドラマ版の前日譚にあたる。

 

【スタッフ】

監督:タナダユキ

脚本:タナダユキ

製作:河田卓司 村松克也 堀義貴 鈴木竜馬 藤本款 渡辺勝也

エグゼクティブプロデューサー:斎藤裕樹 津嶋敬介

プロデューサー:菅澤大一郎 藤原努 宮川宗生

撮影:増田優治

照明:野村直樹

録音:小川武

美術:井上心平

装飾:遠藤善人

スタイリスト:宮本茉莉

ヘアメイク:有路涼子

CG:諸星勲

編集:宮島竜治

音楽:加藤久貴

主題歌:Hakubi

助監督:松倉大夏

スクリプター:増子さおり

スチール:三木匡宏

制作担当:村山亜希子

 

【キャスト】

茂木莉子(浜野あさひ):高畑充希

森田保造:柳家喬太郎

田中茉莉子:大久保佳代子

岡本貞雄:甲本雅裕

チャン・グオック・バオ:佐野弘樹

市川和雄:神尾佑

川島健二:竹原ピストル

浜野巳喜男:光石研

松山秀子:吉行和子

 

【作品データ】

製作年:2021年

製作国:日本

配給:ポニーキャニオン

上映時間:114分

 

 

 

 

 

以上、映画.comのサイトより引用した(引用元のページはこちら)。

 

 

映画「浜の朝日の嘘つきどもと」を観た。

福島県のテレビ局の制作ということで震災の話が出てくるが、どちらかというとそれは背景で、きっと言いたいのはより一般的なこと。

苦しい状況において、映画(あるいはより大きく言うと文化)はどうせ嘘でしかなくて、現実にお腹を膨らせることはできない。

それでも、その「嘘」はしばしば「本当」にはない力を持っていて、ちょっとした明日の活力になったり、人と人とをつなぐ要になったり、ときには人生を救うことだってある。

文化の存在意義を問う、というこのご時世にぴったりのテーマである(映画自体はコロナ禍以前から企画されていたようだが)。

音楽ファンの私としても、身に染みるテーマだった。

 

 

こういったテーマが、決して強く主張されるのではなく、ゆるりとした空気の中で伝わってくるような映画だった。

その点で、先日観た映画「明日の食卓」(その記事はこちら)とは毛色が異なる。

印象に残ったシーンは、こちらのインタビュー記事にある「抱いてやれよ」のシーンと「泣きながら笑う」シーン(インタビュー記事はこちら)。

観ているこちらも泣かされながらだんだんと笑わされて、完全に監督の術中にはまってしまった。

 

 

上の解説文にある通り、この映画は同タイトルのテレビドラマ版の前日譚である(ドラマ版はAmazonやHuluで観られる)。

話の時系列としては映画版→ドラマ版の順で、茂木莉子の行動としては映画版が基礎編、ドラマ版が実践編といったところ。

しかし、観る順序としては時系列順でなく発表順、つまりドラマ版→映画版がオススメで、そのほうが映画版を観た後「ドラマ版のあれは、どこまでどうだったんだろう」などとあれこれ考えて楽しめる。

「スターウォーズは時系列順でなく発表順にエピソード4、5、6、1、2、3の順で観るように」と以前言われたことがあるが、それに似ているかもしれない(私は結局まだ観ていないが)。

 

 

演技も、皆「良いひと感」がにじみ出ていて良かった(特に高畑充希、柳家喬太郎、大久保佳代子、佐野弘樹の4人)。

ファンとしてはやはり高畑充希の演技が良く、高校時代とその10年後との自然な演じ分けがさすがだと思った(私は演技に詳しくないが)。

上述の2つのシーンでも、とても生き生きしていた。
余談だが、インタビュー記事によると高畑充希は今後“重めのラブストーリー”と“超絶アクション”をやってみたいそう(インタビュー記事はこちら)。

俳優として脂の乗り切った彼女に、誰かぴったりな役柄をオファーしてほしいものである。

 

 

 

 


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