「A.スクリアビン」
※ライブストリーミング配信
【日時】
2021年7月13日(火) 開演 20:00 (開場 19:30)
【会場】
カフェ・モンタージュ (京都)
【演奏】
ピアノ:松本和将
【プログラム】
スクリャービン:ピアノ・ソナタ 第2番 嬰ト短調 op.19「幻想」 (1896)
スクリャービン:ピアノ・ソナタ 第3番 嬰ヘ短調 op.23 (1898)
スクリャービン:ピアノ・ソナタ 第5番 op.53 (1907)
スクリャービン:ピアノ・ソナタ 第9番 op.68「黒ミサ」 (1913)
カフェ・モンタージュで行われた松本和将のオンラインピアノリサイタルを聴いた。
オール・スクリャービン・プログラムである。
彼には珍しいレパートリーではないだろうか。
スクリャービンのピアノ・ソナタで私の好きな録音は
【第2番】
●リヒテル(Pf) 1955年6月モスクワライヴ盤(Apple Music/CD/YouTube)
●ランコヴァ(Pf) 2006年5月セッション盤(NML/Apple Music/YouTube1/2)
●マイボローダ(Pf) 2015年11月28日浜コンライヴ盤(CD)
【第3番】
●アレクサンドル・メルニコフ(Pf) 2005年10月セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube1/2/3/4)
●I.アンドレエフ(Pf) 2015年11月22日浜コンライヴ盤(CD)
【第5番】
●グレムザー(Pf) 1994年5月25-27日セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube)
●P.ラウル(Pf) 2006年11月21,22日セッション盤(NML/Apple Music/YouTube)
●イム・ギウク(Pf) 2015年11月23日浜コンライヴ盤(CD)
【第9番】
●M.アムラン(Pf) 1995年6月25-29日セッション盤(CD)
●P.ラウル(Pf) 2006年11月21,22日セッション盤(NML/Apple Music/YouTube)
●H.シュフ(Pf) 2008年9月セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube)
●Youngho PARK (Pf) 2021年5月4日エリザベートコンクールライヴ(動画) ※動画の10:12~
あたりである。
これらはそれぞれ異なる性質を持つものの、概してシャープで繊細な演奏ばかりである。
それに対し、今回の松本和将の演奏は、彼特有の肉厚の音に、100年以上前のスタインウェイ(ちょうどこれらのソナタが作曲された頃!)の鄙びた音色が相まって、上の各名盤とは全く異なる質朴で温かい味を醸していた。
こういうアンティークなスクリャービンもとても良い。
スクリャービンというよりまるでブラームスのようだが、当時の楽器なのでむしろスクリャービン自身こういう音で聴いていたはずである。
第2番、この曲はとにかく星空のように繊細でなくてはと思っていたのが、今回の暖色系のアプローチも意外に合っていたため、軽く衝撃を受けた。
第3番も、力強い演奏から良い具合に角が取れ、よく煮込んだ野菜のように味が出ている。
第3番の終楽章や第5番の主部はもう少し速いテンポが好きだが、こういう路線でいくならあまり速くない方が合っているのかも。
第9番もおとなしめではあるが、あちこち出てくるトリルがきれいに決まっていた。
なお、彼は9月にまたカフェ・モンタージュでの公演(上里はな子との共演)を予定しており、そちらも楽しみである。
(画像はこちらのページよりお借りしました)
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