関西フィルハーモニー管弦楽団
第188回 吹田市民劇場 七夕コンサート
【日時】
2021年7月3日(土) 開演 15:00 (開場 14:00)
【会場】
吹田市文化会館 メイシアター 大ホール (大阪府)
【演奏】
指揮:藤岡幸夫
ピアノ:福岡拓歩 *
管弦楽:関西フィルハーモニー管弦楽団
【プログラム】
グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」 序曲
グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16 *
シベリウス:交響曲 第2番 ニ長調 Op.43
※アンコール(オーケストラ)
グリーグ:2つの悲しき旋律 Op.34 より 第2番「過ぎにし春」 (弦楽合奏版)
関西フィルの七夕コンサートを聴きに行った。
指揮は、首席指揮者の藤岡幸夫が担当。
ソリストは、吹田市出身の若きピアニスト、福岡拓歩。
最初の曲は、グリンカの「ルスランとリュドミラ」序曲。
この曲で私の好きな録音は
●プレトニョフ指揮 ロシア・ナショナル管 1993年11月セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube)
あたりである。
快速テンポで流麗な機能美を示してみせた名盤。
今回の藤岡幸夫&関西フィルは、これよりは遅めの通常テンポだったけれど、ティンパニなどよく利かせて、ぼてっとしない壮麗な演奏に仕上げていた。
次の曲は、グリーグのピアノ協奏曲。
この曲で私の好きな録音は、
●リパッティ(Pf) ガリエラ指揮 フィルハーモニア管 1947年9月18,19日セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube1/2/3)
●R.ファレル(Pf) ウェルドン指揮 ハレ管 1956年8月23,24日セッション盤(CD/YouTube)
あたりである。
今回の福岡拓歩は、これらの巨匠に並ぶとは言えないまでも、方向性としては似た瑞々しい美音とべたつかない感性の持ち主で、私の思うこの曲のイメージによく合っていた。
第1楽章序奏など随所に出てくるオクターヴの和音を、力まずに美しく鳴らすことのできる人である。
同第2主題のような単音の歌も爽やかに聴かせる。
あとは、同第1主題のような幅の狭い和音においても団子にならずメロディを響かせられれば、また終楽章などで技巧的華やかさを発揮できれば、かなりの名演になるのではないか。
藤岡幸夫&関西フィルも、特に第2楽章の豊かな情感表現が印象的。
休憩をはさんで、最後の曲はシベリウスの交響曲第2番。
この曲で私の好きな録音は
●ベルグルンド指揮 ロンドン・フィル 2005年2月16日ロンドンライヴ盤(NML/Apple Music/CD/YouTube1/2/3/4)
あたりである。
フィンランドの澄んだ空気を思わせる、おそらく巨匠最後の同曲録音。
これを超える演奏に私はまだ出会っていないが、藤岡幸夫&関西フィルによる2005年盤もこれに次ぐくらいに好きである。
また、数年前に藤岡幸夫&関西フィルの実演を聴き、大変良かったのだが、そのときは用事があり第1楽章しか聴けず(その記事はこちら)、いつか続きを聴きたいと思っていた。
念願叶った今回の実演は、期待通りの出来だった。
特に終楽章が印象的で、上述の彼ら自身の録音以上に熱いロマン的なうねりを感じさせ、それでいてチャイコフスキーほどには濃厚にならない、絶妙な“北欧感”を実現している。
以前に聴いたヴォーン・ウィリアムズの交響曲第5番もそうだったが(その記事はこちら)、藤岡幸夫の節度あるロマン性は、北欧の音楽と相性がいいように思う。
アフタートークによると、藤岡幸夫&関西フィルは近々、シベリウス交響曲全曲録音を予定しているようで、楽しみである。
(画像はこちらのページよりお借りしました)
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