(パッパーノの新譜 ヴェルディ 「オテロ」) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

好きな指揮者、アントニオ・パッパーノの新譜が発売された。

曲目は、ヴェルディの歌劇「オテロ」である(Apple MusicCD)。

詳細は以下の通り。

 

 

 

 

 

 

 

完全生産限定ハードブック仕様
これほどまでに感情豊かなオテロがあっただろうか!
「現代最高のオテロ」ヨナス・カウフマンが、
名匠アントニオ・パッパーノと充実の歌手陣とともに、
セッション録音でこそ実現できた、ヴェルディの音楽の完璧な再現


ヴェルディの最後から2番目のオペラ『オテロ』の主役は、表現力の豊かさ、声の強靭さとバリトンからテノールまでの声域の広さを要求されるヴェルディ・オペラのテノールの中でも最大の難役であるだけでなく「あらゆるオペラのテノール役の中のエヴェレスト」とさえ称される最難役です。この難役を歌いこなせるテノールは数えるほどしかいませんが、ヨナス・カウフマンはその一人。
2017年、英国ロイヤル・オペラでのキース・ウォーナー新演出によるプロダクションでロール・デビューを果たし、満場の聴衆の圧倒的な喝采を浴び、「カウフマンの、年を重ねることに自信をもった歌声。オテロ歌いとして有名だったラモン・ヴィナイ、ジョン・ヴィッカーズを呼び起こすものだった」(ニューヨーク・タイムズ)、「彼は間違いなく、ドミンゴ以来、この役の最も素晴らしい声と肉体的なカリスマ歌手」(デイリー・メール)、「ヨナス・カウフマンは『オテロ歌い』として歴史に名を刻んだ」(OperaWire)など、各誌論評で絶賛されたのでした(その歴史的上演の映像もブルーレイおよびDVDとしてソニー・クラシカルから発売中)。
カウフマンにとって『オテロ』は、自らの歌手人生で勝ち得た輝かしい栄光のひとつといっても過言ではありません。2001年シカゴ・リリック・オペラでの『オテロ』上演にカッシオ役として参加、2013年発売の『ヴェルディ・アルバム』で初めて『オテロ』から2曲のアリアをレコーディングし、そして2017年のロイヤル・オペラでの大成功と、自らの声と表現力の成熟を根気強く待って新たな役に挑戦し続けてきたカウフマンの一つの頂点でもあるのです。
カウフマンは、最高の条件で『オテロ』の録音を実現するために、2019年夏、ローマで約2週間にわたるセッションが組まれ、カウフマンと舞台で何度も共演し録音も重ねてきた巨匠アントニオ・パッパーノとその手兵サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団&合唱団をむかえ、ヴェルディの難曲に取り組みました。共演者も、イアーゴに表現力豊かなヴェテランのカルロス・アルバレス、デズデモナにモーツァルト歌手として世界的な人気を獲得し、今年(2020年)のザルツブルク音楽祭でクルテンツィス指揮する新演出の『ドン・ジョヴァンニ』にもドンア・エルヴィーラ役で出演予定の若手のリリック・ソプラノ、フェデリカ・ロンバルディを配すなど、完璧な布陣。カウフマンの雄弁なフレージングとダイナミクス、息の長い抒情的なカンティレーナからドラマティックなスピントにいたるまで、オペラ歌手としての彼の驚異的に多彩な技巧と抜群の表現力を味わうことができるのみならず、パッパーノの指揮のもと、最晩年のヴェルディが持てる作曲術を注ぎ込んだ類まれな傑作の姿が実際の音として再現されています。(輸入元情報)


【収録情報】
● ヴェルディ:歌劇『オテロ』全曲


ヨナス・カウフマン(テノール:オテロ)
カルロス・アルバレス(バリトン:イアーゴ)
フェデリカ・ロンバルディ(ソプラノ:デズデモナ)
リパリト・アヴェティスヤン(テノール:カッシオ)
ヴィルジニー・ヴェレーズ(メゾ・ソプラノ:エミーリア)
カルロ・ボシ(テノール:ロデリーゴ)
リッカルド・ファッシ(バス:ロドヴィーコ)
ファブリツィオ・ベッジ(バス:モンターノ)
ジャンパオロ・フィオッキ(バリトン:伝令)
ローマ聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団&合唱団
アントニオ・パッパーノ(指揮)

録音時期:2019年6月24日~7月6日
録音場所:ローマ、パルコ・デッラ・ムジカ音楽堂
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

ハードブック仕様パッケージ(完全生産限定)

 

 

 

 

 

以上、HMVのサイトより引用した(引用元のページはこちら)。

 

 

ヴェルディの「オテロ」で私の好きな録音は

 

●トスカニーニ指揮 NBC響 1947年12月4,5,6,12,13日ニューヨーク放送ライヴ盤(Apple MusicCD

●エレーデ指揮 ローマ聖チェチーリア国立音楽院管 1954年7,8月セッション盤(NMLApple MusicCD

 

あたりである。

今回のパッパーノ盤は、トスカニーニの凄まじさやエレーデの艶に比べると、いささかおとなしい。

パッパーノは、かつてプッチーニの「トスカ」の録音で、強烈な色彩感と近代的な神経質さとを両立した大変な名演を実現したのであったが、19世紀的な大らかさを色濃く持つヴェルディにおいては自身の持ち味を発揮しにくいのかもしれない。

とはいえ、近年の「オテロ」の録音の中では、まとまりの良さとイタリア的な明るさとのバランスにおいて優れているほうであろう。

 

 

オテロ役のカウフマンは、トスカニーニ盤におけるラモン・ヴィナイや、エレーデ盤におけるマリオ・デル・モナコのような、一聴するだに魅了されてしまう英雄的な輝かしい声は、持ち合わせていない。

しかし、人間的な弱さを持つ苦み走ったオテロ、そんなイメージを想起させる渋めの声であり、古き佳き時代とは違った今風の、これはこれで悪くない描写である(パッパーノの音楽性にも合っている)。

また、上記の解説の通り、2週間かけてじっくりセッション録音したとのことで、普段荒れやすい印象のある彼の声が今回は状態が良い。

 

 

総じて、往年の名盤の魅力には敵わないにしても、近年では第一に推せる「オテロ」の佳演だと思われる。

 

 


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