今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。
好きなヴァイオリニスト、五嶋みどりの新譜が発売された。
曲目は、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲、および2つのロマンスである(NML/Apple Music/CD)。
詳細は以下の通り。
ベートーヴェンの魂との対話、ここに実現。
五嶋みどり、渾身の最新録音。初のヴァイオリン協奏曲とロマンス
ヴァイオリニスト、五嶋みどりは35年間に亘って著名な演奏者として知られています。このヴァイオリン協奏曲と2曲のロマンスによって構成された最新録音は、2020年12月のベートーヴェン250年アニヴァーサリーを期しての新譜。ルツェルン祝祭弦楽合奏団と共演した本録音は、コロナ・パンデミックによって公演と世界ツアーがキャンセルを余儀なくされた直後2020年3月にスイスで行われました。
「ベートーヴェンがどれほど多くの問題に毅然と立ち向う強い信念と道徳心、自制心の持ち主であり続けられたか、と思いをはせる時、彼は自身の生き方から、如何なる人間にも最高峰を目指し達成しようとするならば、前途に立ちはだかる途方もない困難や葛藤にも勝る自制心を持続する潜在能力があると教えました。彼の薫陶が今日の私の音楽家としての立ち位置を明確に見定める指針となったことに感謝しています。」~五嶋みどり ライナーノートより~(輸入元情報)
【収録情報】
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品61
1.第1楽章:アレグロ・マ・ノン・トロッポ
2.第2楽章:ラルゲット
3.第3楽章:ロンド
(カデンツァ(全3楽章):フリッツ・クライスラー)
4.ベートーヴェン:ロマンス(ヴァイオリンと管弦楽のための)ト長調 作品40
5.ベートーヴェン:ロマンス(ヴァイオリンと管弦楽のための)ヘ長調 作品50
五嶋みどり(ヴァイオリン)
ルツェルン祝祭弦楽合奏団
ダニエル・ドッズ(リーダー)
録音時期:2020年3月1日
録音場所:ルツェルン、カルチャー・コングレスセンター
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
以上、HMVのサイトより引用した(引用元のページはこちら)。
ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲で私の好きな録音は
●クライスラー(Vn) ブレッヒ指揮 ベルリン国立歌劇場管 1926年セッション盤(NML/CD)
●シゲティ(Vn) ワルター指揮 ブリティッシュ響 1932年セッション盤(CD)
●ハイフェッツ(Vn) トスカニーニ指揮 NBC響 1940年3月11日セッション盤(Apple Music/CD)
●オイストラフ(Vn) クリュイタンス指揮 フランス国立放送管 1958年セッション盤(NML/Apple Music/CD)
●H.ハーン(Vn) ジンマン指揮 ボルティモア響 1998年セッション盤(Apple Music/CD)
●J.ベル(Vn) ノリントン指揮 カメラータ・ザルツブルク 2000年セッション盤(Apple Music/CD)
●J.フィッシャー(Vn) マリナー指揮? アカデミー室内管? 2016年ウィーンライヴ(音源)
あたりである。
一点の曇りもない青空のような、晴れやかで伸びやかな歌を聴かせてくれる演奏が好み。
今回の五嶋みどり盤は、これらの名盤に完全に匹敵する見事なものとなっている。
針の穴を通すようなコントロールで、音程やフレージングをぴたりと正確に合わせていく彼女の精緻さは、上のどの名盤にも勝るほど。
精緻な分、神経質になり晴れやかさが損なわれているかというと、そうではない。
以前にも書いたように(その記事はこちら)、彼女の演奏はシベリウスやプロコフィエフ向きだった若き日の尖鋭さから変化を遂げ、モーツァルトやベートーヴェン向きのより円満な芸風になったように思う。
少し柔らかくなった彼女の音楽は、ベートーヴェンの協奏曲の牧歌的な曲想によく合っている。
それでいて、底抜けに明るいというよりは、ちょうど今の季節の空のような、澄んだ哀しみを湛えているところが彼女らしい。
彼女は今月来日してこの曲を演奏する予定であったが(下記リブログ元の記事参照)、コロナ禍のため2022年11月へと延期になってしまったようである。
2年後にぜひ実演を聴きたく思う。
https://www.youtube.com/watch?v=Ao0TdiDs1uo&list=OLAK5uy_m5f5IfZcmUB6MCsTyUVupST8AMXCzq8Wc
※YouTubeのページに飛ばない場合は以下のURLへ
https://www.youtube.com/watch?v=Ao0TdiDs1uo&list=OLAK5uy_m5f5IfZcmUB6MCsTyUVupST8AMXCzq8Wc
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