(鈴木雅明の新譜 バッハ ヨハネ受難曲) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

好きな指揮者、鈴木雅明の新譜が発売された。

曲目は、J.S.バッハのヨハネ受難曲である(NMLApple MusicCD)。

詳細は以下の通り。

 

 

 

 

 

 

 

 

緊急リリース
2020年3月、苦難を乗り越えて実現。
バッハ・コレギウム・ジャパンがケルンで録音した『ヨハネ受難曲』がついに発売!


SACDハイブリッド盤。2020年3月、バッハ・コレギウム・ジャパンは創立30周年の一環でヨーロッパ・ツアーを全11公演の日程で予定していましたが、新型コロナウイルスが急激に蔓延したために8公演がキャンセルとなってしまいました。しかしツアー予定最後に数日滞在していたケルンにおいて、ヨハネ受難曲の録音とライヴ・ストリーミングが実現しました。
録音はケルン・フィルハーモニー大ホールにてセッションで行われました。苦難な状況下の中で実現したこの記録は、BCJが世界に発信する2020年最大の注目盤がリリースといえます。奇しくも創立30周年を迎えたBCJが全身全霊を尽くした録音となりました。
演奏のすばらしさはもちろんのこと、名録音技師マルティン・ザウアーによる録音であることも注目。また、レコーディング・コーディネーターはBCJの首席指揮者、鈴木優人がつとめております。

「CD録音セッションは、ライブ・ストリーミングの前後一両日、ヨーロッパの各国が順次国境を閉鎖しフライトも次々のキャンセルされていく、大変緊張した雰囲気の中で行われました。ホテルのカフェやレストランも徐々に営業場所を狭めていき、最終日には、ついに警察官がホールに現れ、直ちに立ち退いて建物を閉鎖するよう求められました。しかし幸い、その警察官もBCJの演奏を聞いて下さっていたことから私たちの活動を理解してくださり、1時間だけ猶予が与えられたのでようやく最後まで収録することができたのです。
皮肉なことに、ヨハネ受難曲は、このような緊迫した雰囲気の中で演奏するのに誠に相応しい受難曲と言わざるを得ません。イエス・キリストの逮捕と処刑という緊迫した物語を、マタイ受難曲より遙かに劇的に映し出したこの音楽は、私たちが今回経験した大きな苦難に際し、この世に生きることの意味を、改めて考え直すことを私たちに迫るかのようです。」
~バッハ・コレギウム・ジャパン音楽監督 鈴木雅明~バッハ・コレギウム・ジャパン公式ホームページより(輸入元情報)

【収録情報】
● J.S.バッハ:ヨハネ受難曲 BWV.245(1739/49版)


ジェイムズ・ギルクリスト(テノール/エヴァンゲリスト)
クリスティアン・イムラー(バス/イエス)
ハナ・ブラシコヴァ(ソプラノ)
ダミアン・ギヨン(アルト)
ザッカリー・ワイルダー(テノール)
松井亜希(ソプラノ/召使の女)
谷口洋介(テノール/下役)
浦野智行(バス/ペトロ)
渡辺祐介(バス/ピラト)
バッハ・コレギウム・ジャパン
寺神戸 亮(コンサートマスター)
鈴木優人(チェンバロ)
鈴木雅明(指揮)

録音時期:2020年3月14-17日
録音場所:ケルン・フィルハーモニー大ホール
録音方式:ステレオ(DSD/セッション)
SACD Hybrid
CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD 5.0 SURROUND

 

 

 

 

 

以上、HMVのサイトより引用した(引用元のページはこちら)。

 

 

鈴木雅明&BCJによるバッハのヨハネ受難曲の20年ぶりの再録音である(旧盤としては1995年盤、1998年盤、2000年盤がある)。

下記リブログ元の記事に書いたように、彼らは昨年にマタイ受難曲をも再録音している。

このマタイは、もちろん素晴らしいものであったが、旧盤の歌手があまりに粒ぞろいなので、総合的には旧盤が優勢と感じた。

 

 

それでは、今回のヨハネはどうか。

歌手は、やはり旧盤(1998年盤)のゲルト・テュルクや浦野智行、米良美一、イングリット・シュミットヒューゼンらの美しい歌唱と比べると、さすがに色あせてしまう。

とはいえ、今回の歌手陣も健闘しており、特に福音史家のジェイムズ・ギルクリストは旧盤のゲルト・テュルクに並ぶとまではいわないまでも、なかなかの美声を聴かせてくれている。

 

 

そして何よりも、鈴木雅明の指揮。

マタイでは旧盤と概ね似通った解釈と感じたが、今回のヨハネは違う。

小さな差異だが、確実に旧盤よりも劇的な音楽となっている。

冒頭の合唱、あるいは第16曲(ピラトへの引き渡しの場面)の半音階的な合唱での、旧盤以上に張りつめた緊迫感。

また、第22曲(ピラトの尋問の後の場面)のコラールでの、旧盤以上に切々とした心からの祈り。

 

 

こうした演奏が、上記の解説文にあるような、特別な状況下においてのみ可能だったのかどうかは、私には分からない。

ただ、このような状況になる前に録音されたマタイ受難曲にはない何かが、確かにこのヨハネ受難曲からは感じられる気もする。

気迫、と言ったらいいか。

マタイでは旧盤に軍配を上げた私も、今回のヨハネではこうした点を加味して、総合的には旧盤と互角に張り合い甲乙つけられない。

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=tdhspJNfz1E&list=OLAK5uy_nFU27lhxodpR7MDKshpVBdTQcgByEdVJ8

 

 

※YouTubeのページに飛ばない場合は以下のURLへ

https://www.youtube.com/watch?v=tdhspJNfz1E&list=OLAK5uy_nFU27lhxodpR7MDKshpVBdTQcgByEdVJ8

 

 

 

 


音楽(クラシック) ブログランキングへ

↑ ブログランキングに参加しています。もしよろしければ、クリックお願いいたします。