大阪フィルハーモニー交響楽団
いずみホール公演
※無観客公演、ライブストリーミング配信
【日時】 2020年7月17日(金) 開演 19:15
【会場】 住友生命いずみホール (大阪)
【演奏】
指揮:尾高忠明
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
(コンサートマスター:須山暢大)
【プログラム】
デュカス:バレエ音楽「ラ・ペリ」 より ファンファーレ
ホルスト:吹奏楽のための第一組曲
エルガー:弦楽セレナード
シベリウス:アンダンテ・フェスティーヴォ(弦楽合奏+ティンパニ版)
モーツァルト:交響曲 第39番 変ホ長調 K.543
※アンコール
グリーグ:2つの悲しき旋律 op.34 より 第2曲 過ぎし春
下記のリブログ元の記事に書いた、大フィルの無料ライヴ配信を聴いた。
指揮は、大フィルの音楽監督、尾高忠明。
新型コロナウイルス感染予防のため、小編成の曲を集めたプログラムとなっている。
配信トラブルが多かったが、アーカイブ配信ではきっと修正されるだろう。
最初の2曲(デュカスとホルスト)は、管楽器のための曲。
フルートの野津臣貴博、オーボエの浅川和宏、クラリネットの金井信之など、普段の定期演奏会で見慣れた面々をこうして映像でアップで観られるのは、また生とは別の新鮮さがある。
演奏もなかなか良かった。
次の2曲(エルガーとシベリウス)は、弦楽器のための曲。
特にエルガーのほうは、私の好きなガードナー指揮BBC響盤に並ぶとまでは言わないまでも、それに迫るほど良かった。
尾高忠明の節度ある音楽性は、イギリス音楽によく合っている。
大フィルの弦の質の高さも相まって、大変美しかった。
シベリウスのほうは、セーゲルスタム指揮ヘルシンキ・フィル盤や、カンガス指揮オストロボスニア室内管盤のように、北欧の澄んだ空気の感じられる演奏を好む私には、少し華やかすぎるように聴こえたけれど。
尾高忠明のトークによると、彼にBBCウェールズ響の指揮者就任の依頼が来たとき、彼は「ドイツやオーストリアやフランスなら行きたいが、イギリスなんて」と手紙を無視したという。
ところが、手紙は何度も何度も送られてきて、しまいにはヨーロッパへの交通費も出すと言われ、「ウィーンにも遊びに行けるじゃないか」と仕事を引き受けたとのこと。
これだけ避けようとしたイギリスと縁があり、しかもこのようにイギリス音楽との相性が実は良い、といった数奇な運命は、彼に限らず音楽界にけっこうあるような気がする。
最後の曲は、モーツァルトの交響曲第39番。
この屈指の名交響曲には、ワルター(BBC響、ニューヨーク・フィル、コロンビア響)、フルトヴェングラー(ベルリン・フィル)、ベーム(ベルリン・フィル、ウィーン・フィル)、カラヤン(ベルリン・フィル)、マッケラス(スコットランド室内管)、アーノンクール(コンツェントゥス・ムジクス・ウィーン)、アバド(モーツァルト管)、ワーズワース(カペラ・イストロポリターナ)、ヘルツォーク(アンサンブル・アパッショナート)、ミナーシ(アンサンブル・レゾナンツ)など、名盤が少なくない(アバド&ベルリン・フィルで録音してくれたら最高の名盤になっただろうが)。
今回の尾高忠明&大フィルの演奏は、これらの名盤に比べるとやや大味なきらいがあり、モーツァルトらしい繊細さがほしいところ(例えば第1楽章の第1主題のポルタメントなど、もう少し優しくさりげなく扱ってほしい)。
それでも悪い演奏ではなかったし、それに尾高忠明の笑顔の指揮ぶりが印象的だった。
彼の知り合いのステージマネージャーによると、「どんな大編成のコンサートよりも、小編成のモーツァルトのコンサートのほうが、お客さんがみな笑顔で帰っていく」とのこと。
人を笑顔にする小編成の音楽、今の時世にうってつけである。
アンコールのグリーグも、しみじみしてとても良かった。
今回リアルタイムで聴けなかった方は、アーカイブが8月31日まで聴けるとのこと(まだ聴けないがおそらくこちらで明日くらいからか)。
また、来週の7月22、23日には大フィルの定期演奏会もあり、行ける方はそちらもぜひ。
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