(エメリャニチェフの新譜 ヘンデル 「アグリッピーナ」) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

あのテオドール・クルレンツィスの振ったモーツァルトのダ・ポンテ三部作の名盤において、生き生きとした通奏低音を聴かせてくれた鍵盤楽器奏者、マクシム・エメリャニチェフ。

彼はいつの頃からか指揮もやっていて、手兵の古楽団体イル・ポモ・ドーロを振っての録音がいくつかあるが、今回そんな彼らの新譜が発売された(NMLApple MusicCD)。

曲目は、ヘンデルのオペラ「アグリッピーナ」である。

詳細は以下の通り。

 

 

 

 

 

 

 


ベルカントの女王ディドナートが、欲望の皇妃を華麗な音楽で歌い上げた決定盤!

息子を帝位につけるため、皇妃アグリッピーナがしかけた陰謀とは? 権力より愛を選ぶのは誰? 愛と野望と裏切りが渦巻くダイナミックな人間ドラマを、弾けるリズム、陶酔のメロディ、超絶技巧の愉悦に満ちたヘンデルの音楽が華麗に描いたこのオペラは、イタリア滞在中のヘンデルが1709年12月に作曲。ヴェネツィアのサン・ジョヴァンニ・グリソストモ劇場で、初演から27回連続公演という記録を持つ大成功作となったものです。
ベルカントの女王ジョイス・ディドナートが、欲望の皇妃を華麗なる歌唱で歌い上げています。フランコ・ファジョーリ、そしてヤコブ・ユゼフ・オルリンスキの2人のカウンターテナー、ルカ・ピサローニやマリー=ニコル・ルミューなど、どの配役にも感情豊かな歌手らが起用されているのに注目です!
クルレンツィスの通奏低音鍵盤奏者であったマクシム・エメリャニチェフとジョイス・ディドナートは、2016年以降『戦争と平和の中で』と題したオペラ・アリア集(CDでも発売されています)の公演を世界中で行っており、すでに3年以上経っていますが大好評につき今でもこの感動的な公演は続けられています。ここまで聴き手を感動させるディドナートの歌唱。バロック・アリアを歌うには、高度な表現力に加え、めまぐるしいパッセージを次から次へと歌う超絶技巧も要求されます。その点、もともとロッシーニ歌手として名声を博した彼女にとっては、どんな超絶技巧もお手のものといえましょう。古楽アンサンブル、イル・ポモ・ドーロの首席指揮者を務めるエメリャニチェフの指揮や通奏低音チェンバロでも出演している歌手らを支えつつ柔軟な音楽を奏で、物語が劇的に展開されていきます。240ページのブックレット(欧文のみ)が付属します。(輸入元情報)

【収録情報】
● ヘンデル:歌劇『アグリッピーナ』 HWV.6 全曲


ジョイス・ディドナート(メゾ・ソプラノ/アグリッピーナ)
エルザ・ベノワ(ソプラノ/ポッペア)
ルカ・ピサローニ(バス・バリトン/クラウディオ)
フランコ・ファジョーリ(カウンターテナー/ネローネ)
ヤコブ・ユゼフ・オルリンスキ(カウンターテナー/オットーネ)
カルロ・ヴィストーリ(カウンターテナー/ナルチーゾ)
アンドレア・マストローニ(バス/パッランテ)
ビアージョ・ピッツーティ(バリトン/レズボ)
マリー=ニコル・ルミュー(ジュノーネ/コントラルト)
イル・ポモ・ドーロ(ピリオド楽器アンサンブル)
マクシム・エメリャニチェフ(指揮)

録音時期:2019年5月20-28日
録音場所:イタリア、ドッビアーコ、Sala Mahler Centro Culturale
録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)

 

 

 

 

 

以上、HMVのサイトより引用した(引用元のページはこちら)。

 

 

エメリャニチェフ&イル・ポモ・ドーロは、ヘンデルの後期のオペラ「セルセ」をすでに録音しているが、今回はヘンデルの初期のオペラ「アグリッピーナ」。

序曲からしてきびきびとした颯爽たる演奏で、さすがはクルレンツィスのもとでやってきただけのことはある。

もしクルレンツィスだったならば、彼の録音したパーセルの「ディドとエネアス」やラモー抜粋集のように、よりいっそう鮮烈な演奏となっただろうし、歌手に対する表現力の要求も、よりこだわりの強いものとなっていただろう。

しかし、そこまで求めるのは酷というもの。

この曲はガーディナー盤、マルゴワール盤、ヤーコプス盤など録音に恵まれているが、その中でも今回のエメリャニチェフ盤は頭一つ抜けた出来と言っていいのではないだろうか。

 

 

なお、当盤はディドナート、ファジョーリなど著名な歌手が集められているが、私が良いと感じたのはオットーネ役のオルリンスキ。

若手カウンターテナーとして人気の高い彼だが、今回聴いてみると、確かに荒れのない丁寧な歌唱が好印象だった。

カウンターテナーで私がとりわけ好きなのは

 

アンドレアス・ショル

ロビン・ブレイズ

カルロス・メナ

 

あたりだが、今回のオルリンスキは彼らと並ぶとまでは言わないにしても、その次に好きなマイケル・チャンス、フィリップ・ジャルスキー、ダミアン・ギヨンあたりに匹敵する逸材だと思う。

 

 


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