日本センチュリー交響楽団 豊中名曲シリーズVol.13 飯森範親 ベートーヴェン 交響曲第7番他 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

センチュリー豊中名曲シリーズ Vol.13

※無観客公演、ライブストリーミング配信

 

【日時】

2020年3月28日(土) 開演 15:00

 

【会場】

豊中市立文化芸術センター 大ホール (大阪)

 

【演奏】

指揮:飯森範親

クラリネット:磯部周平 *、持丸秀一郎 *

管弦楽:日本センチュリー交響楽団

(コンサートマスター:荒井英治)

 

【プログラム】

メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」 op.26

メンデルスゾーン:2本のクラリネットのための協奏的小曲 第1番 *

メンデルスゾーン:2本のクラリネットのための協奏的小曲 第2番 *

ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 op.92

 

 

 

 

 

下記のリブログ元の記事に書いた、クラシック音楽の無料ライヴ配信の一つ、日本センチュリー響の定期演奏会を聴いた。

指揮は、もともとヴァレンティン・ウリューピンが予定されていたが、新型コロナウイルスの影響で来日不可となり、代わりに日本センチュリー響の首席指揮者、飯森範親が担当した。

飯森範親の指揮が好きな私としては、何ともありがたい代打である。

 

 

最初の曲は、メンデルスゾーンの「フィンガルの洞窟」。

この曲で私の好きな録音は

 

●フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィル 1930年セッション盤(CD

●フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル 1949年2月15日セッション盤(NMLApple MusicCD

●ティーレマン指揮 ウィーン・フィル 2002年11月セッション盤(NMLApple MusicCD

 

あたりである。

これらのずっしりとした濃いめの演奏と比べると、今回の飯森範親&センチュリー響の演奏はさらりとしたものだったが、それでも彼らしい色気のようなものが感じられ、決して無味乾燥でない。

 

 

次の曲は、メンデルスゾーンの2つのクラリネットのためのコンツェルトシュテュック第1、2番。

これら2曲で私の好きな録音は

 

●S.マイヤー(Cl) W.マイヤー(Cl) シリトー指揮 アカデミー室内管 2001年セッション盤(NMLApple MusicCD

 

あたりである。

今回の演奏は、このザビーネ・マイヤーのうまさにはさすがに至らないが、そもそも第1クラリネットの磯部周平はウリューピンの代役。

この難曲を短期間でよく準備できたものである。

 

 

休憩をはさんで、最後の曲はベートーヴェンの交響曲第7番。

この曲で私の好きな録音は

 

●トスカニーニ指揮 ニューヨーク・フィル 1936年4月9、10日セッション盤(CD

●フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル 1950年1月18、19日セッション盤(NMLApple MusicCD

●C.クライバー指揮 バイエルン国立管 1982年5月3日ミュンヘンライヴ盤(NMLCD

●カラヤン指揮 ベルリン・フィル 1983年12月1-3、5日セッション盤(NMLApple MusicCD

●西本智実指揮 ロイヤル・フィル 2009年9月22日東京ライヴ盤(CD

 

あたりである。

いずれもどっしりとした構えで、じわじわとエネルギーをためていき、最後には爆発的な熱狂に至る名演。

今回の飯森範親&センチュリー響の演奏は、これら5盤よりはすっきりとしている。

それでも、先月同じセンチュリー響で聴いた阪哲朗の指揮のようなかっちりとした理知的な演奏というよりは(その記事はこちら)、むしろ感覚的、情熱的なセンスが前面に出た演奏だった。

同じオーケストラ、同じ時期の演奏なのに、指揮者によってこのように違いが出るのは面白い。

終楽章など、ベルリン・フィルのライヴ盤を思わせる速いテンポだが(2001年アバド盤や2015年ラトル盤)、細かい音の明瞭度はベルリン・フィルに敵わないにしても、音楽の表情はより激しく情熱的で、ホルンの強奏やティンパニの強打など大変に聴きごたえがある。

アカデミックな冷静さのためかどこか不完全燃焼の感のあるアバドやラトルとは違い、私の好きな上記5盤にも通じる「熱狂」があって、感動的だった。

 

 

なお、今回はニコニコ動画による配信だったが、視聴者は動画にコメントを入れることができる。

コメントを見ながら音楽を聴き、多くの人とリアルタイムで感動を共有するような体験は、何だか新鮮だった。

 

 

 

 


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