山田剛史 京都公演 シューマン ダヴィッド同盟舞曲集 ほか | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

「ダヴィッド同盟」

 

【日時】

2018年10月17日(水) 開演 20:00 (開場 19:30)

 

【会場】

カフェ・モンタージュ (京都)

 

【演奏】

ピアノ:山田剛史

 

【プログラム】
武満徹:雨の樹 素描 (1982)

ジョージ・ベンジャミン:ピアノ・フィギュアズ (2004)

シューマン:ダヴィッド同盟舞曲集 作品6 (1837)

 

 

 

 

 

一昨日に引き続き、本日もカフェ・モンタージュのコンサートを聴きに行った。

山田剛史のピアノ・リサイタルである。

私は彼の弾く歌曲伴奏を2回聴いたことがあるけれど(そのときの記事はこちらこちら)、彼のソロ演奏を聴くのは今回が初めて。

歌曲伴奏の印象が良かったので、今回のソロも期待して聴いた。

 

 

前半のプログラムは、武満徹の「雨の樹 素描」と、ベンジャミンの「ピアノ・フィギュアズ」。

聴き慣れた曲でないので確かなことは言えないけれど、山田剛史の知的でスマートな音やアプローチは、これら現代音楽によく合っていると感じた。

それに、一筋縄ではいかない選曲が何とも面白い。

プログラムにこだわりを持つタイプのピアニストなのだろう。

 

 

後半のプログラムは、シューマンの「ダヴィッド同盟舞曲集」。

この曲で私の好きな録音は、

 

●石井楓子(Pf) 2018年リーズコンクールライヴ(動画、12:20くらいから

 

あたりである。

一つ前の記事で、シューマンの「幻想曲」について、決定的な演奏にまだ出会っていない旨を書いたが、「ダヴィッド同盟舞曲集」については、石井楓子のこの演奏が私にとっての理想形に近い。

それ以外では、コルトー盤やケンプ盤などが個性的で好きである(やや巨匠風すぎる面はあるけれど)。

 

 

そして、今回の山田剛史の演奏も、なかなか良かった。

知的でスマートなのだが、同時にきわめて力強く情熱的でもあるという、表現の振れ幅の大きな演奏である。

激しい曲ではとことん激しく、ゆっくりの曲ではとことんゆっくりと。

終曲などかなり遅めの引きずるようなテンポとなっており、私としてはもっとさらっとした(それでいて大変に繊細な)ワルツであってほしかった。

ただ、こうしたやや「分裂気味」な彼のシューマンは、一昨日の松本和将のまとまりのよい堅固なシューマンに比べ、より「シューマン的」であるようにも聴こえるのだから面白い。

そういえば上述のマーラーやヴォルフの歌曲伴奏でも、そうしたところが彼の持ち味になっていたのだった。

オクターヴや和音の連続するスタッカートなど、一部やや苦しそうな箇所もあったが、そういった部分の完成度が詰められれば、かなりの名演になるかもしれない。

 

 


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