(ボストリッジの新譜 シューベルト歌曲ウィグモア・ホール・ライヴ 第3集) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想でなく、別の話題を。

好きなテノール歌手、イアン・ボストリッジの新譜が、近日発売予定となっている(Apple MusicCD)。

なお、Apple Musicではもう聴くことができる。

詳細は下記を参照されたい。

 

 

 

 

 

現代最高峰のリート歌手イアン・ボストリッジ
ウィグモア・ホールでのライヴ・シリーズ第3弾!


英国出身の名テノール、イアン・ボストリッジ。知的なアプローチ、多彩な美声、そして繊細な語り口で21世紀を担うリート歌手です。
 このアルバムは、2013年から2014年にかけてロンドンのウィグモア・ホールで行われたシューベルトの歌曲リサイタル第3弾。伴奏は現代最高のリート伴奏者ジュリアス・ドレイクです。
 このリサイタル・シリーズで様々な形で登場する“憧れ” のテーマは、第1曲の『郷愁』の冒頭から、美しく演出されています。そして最後の『夕映えの中で』では、ラッペの美しい夕映えと神を賛美する歌詞が切々と歌われ、アンコールでは『月に寄せる嘆き』が静かに歌われそっと幕がおります。ボストリッジの知的な音楽性、高音域の伸び、そして豊かに響く低音域の声が心に染みわたります。そしてドレイクの色彩感溢れる美しいピアノの音色を印象付けながらも、決して前に出すぎない絶妙なバランスを保つ名伴奏も魅力です。(輸入元情報)

【収録情報】
シューベルト:
● 郷愁 D.456
● 憧れ D.879
● 野外で D.880
● 2つの性格的な行進曲 D.866
● 月に寄せる旅人の歌 D.870
● 臨終を告げる鐘 D.871
● 真珠 D.466
● 自らの意志で沈みゆく D.700
● 怒れるディアナ D.707
● 捕われた狩人の歌 D.843
● ノルマンの歌 D.846
● さすらい人 D.493
● ピッポリートの歌 D.890
● リュートに寄せて D.905
● わたしのクラヴィーアに D.342
● 泉のほとりの若者 D.300
● ウルフルーが漁をする時 D.525
● 子守歌 D.527
● 友に D.654
● 草原の歌 D.917
● 孤独な男 D.800
● 夕映えの中で D.799
● 月に寄せる嘆き D.436(アンコール)


 イアン・ボストリッジ(テノール)
 ジュリアス・ドレイク(ピアノ)

 録音時期:2014年9月15日
 録音場所:ロンドン、ウィグモア・ホール
 録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)

 

 

 

 

 

なお、上記はHMVのサイトより引用した(引用元のページはこちら)。

 

 

上記サイトの紹介文には、「現代最高峰のリート歌手」とあるが、全くその通りだと思う。

私は、ロマン派のドラマティックなオペラを除くと、バッハのカンタータでも、モーツァルトのオペラでも、またリートでは古典派・ロマン派問わず全般的に、高い音域の軽やかな声質の歌声が好みである。

好きなテノール歌手は、イアン・ボストリッジ、クリストフ・ゲンツ、ゲルト・テュルクあたり。

そのうち、ゲンツとテュルクについては、バロックや古典派の録音がほとんどであるため、ロマン派のリートの分野では、私にとっては専らボストリッジの独壇場となっている。

もちろん、他のテノール歌手たち、例えばプレガルディエンやパドモアだって素晴らしいし、またバリトンにもF=ディースカウ、プライ、ゲルネらリートのスペシャリストたちがたくさんいて、皆それぞれ捨てがたい魅力を持っている。

それでも、シューベルトやシューマンやヴォルフの、あの若者特有の夢見がちな希望や悲壮な絶望、その直截な表現として最もしっくりくるのが、私にとってはボストリッジのそれなのである。

(逆に、前述の他の名歌手たち、特にバリトン歌手たちの歌は、長い年月と多くの経験を経た年長者による、若き日の回想のように私には聴こえる。それはそれで大変良いのだけれど。)

 

 

そして、彼のリート録音においてしばしばピアノ伴奏を務めるのは、ジュリアス・ドレイク。

私は、彼ほど詩的な演奏表現をもって歌に寄り添うことのできるピアニストを、他に知らない。

「歌曲伴奏ピアニストの王」と言ってもいいとさえ思っている。

この2人がしばしば共演してくれるのは大変ありがたい。

彼らによるシューベルトやシューマンの歌曲集の録音は、私にとって大切な宝物である。

そして今回のCDも、嬉しいことにこの2人による演奏。

充実した自主公演で有名なロンドンのコンサートホール、ウィグモア・ホールにおいて、彼らはシューベルトの歌曲リサイタルをこれまでに2回分ライヴ録音しているが、今回は同シリーズの第3弾となっている。

 

 

このライヴは2014年に行われたようだが、その当時ボストリッジは49歳だった。

すでに「若者」とは呼べない歳だけれど、彼の若々しい歌声はまだまだ健在。

いずれの曲においても実に軽やかで繊細、シューベルトならではの「心の歌」になっている。

有名な「草原の歌 D917」や「夕映えの中で D799」も、期待通り素晴らしい。

これらは、これまでの彼のセッション録音にもライヴ録音にも含まれていなかった曲であり、今回の録音は嬉しいところ。

ボストリッジよりやや年上のドレイクも、いつの間にか少し歳を取ったけれど、そのピアノ演奏は相も変わらず香り高く美しい。

お勧めしたい一枚である。

 

 

なお、彼らのシューベルト歌曲ライヴ録音シリーズは、もうすでに第4弾も録音されていて、発売が予定されているという。

この調子で、彼ら2人にはぜひシューベルトの歌曲全集をライヴ録音してほしいものである。

 

 


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