大阪フィルハーモニー交響楽団 第512回定期 エリシュカ ドヴォルザーク 交響曲第6番 ほか | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

大阪フィルハーモニー交響楽団

第512回定期演奏会

 

【日時】
2017年10月19日(木) 開演 19:00 (開場 18:00)

 

【会場】

フェスティバルホール (大阪)

 

【演奏】
指揮:ラドミル・エリシュカ
ソプラノ:木下美穂子
バリトン:青山貴
合唱:大阪フィルハーモニー合唱団(合唱指導:福島章恭)

管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団

(コンサートマスター:田野倉雅秋)

 

【プログラム】
ドヴォルザーク:伝説曲 作品59 より 第1~4曲
ドヴォルザーク:テ・デウム 作品103
ドヴォルザーク:交響曲第6番 ニ長調 作品60

 

 

 

 

 

大フィルの定期演奏会を聴きに行った。

今回の指揮者は、ラドミル・エリシュカ。

あの名指揮者ヤクブ・フルシャの、師匠にあたる人である。

いや、私はフルシャのファンなのでこのような書き方をしてしまったが、一般的にはむしろ「フルシャはあの名指揮者エリシュカの弟子である」というべきかもしれない。

押しも押されもせぬチェコの名匠、エリシュカ。

札幌交響楽団の首席客演指揮者としての活動も名高く、スメタナ、ドヴォルザーク、ヤナーチェクなどの録音も行っており、いずれも名演である。

フルシャも録音している「わが祖国」や「タラス・ブーリバ」などで比べてみると、フルシャほどの洗練や完成度の高さはなくて、より素朴な感じの演奏だけれど、音の扱いの柔らかさ、表現の自然さなど明らかに共通している。

エリシュカが、フルシャに大きな影響を与えたことが見て取れる。

今回の大フィル定期は、そんなエリシュカが大の得意とする、オール・ドヴォルザーク・プログラムである。

 

 

前半のプログラムは、「伝説曲」と「テ・デウム」。

どちらもあまり聴き慣れない曲だが、チェコの森を連想させるような(行ったことはないのだけれど)、ふんわりとしたさわやかな雰囲気の演奏で、惹きこまれた。

 

 

後半のプログラムは、交響曲第6番。

この曲の数年前に作曲されたブラームスの交響曲第2番の影響が強く感じられる、牧歌的な味わいのある曲である。

この曲の録音では、私は

 

●ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィル 1992年セッション盤(NMLApple Music

●エリシュカ指揮 札幌響 2008年4月11、12日札幌ライヴ盤(CD

 

あたりが好きである。

ビエロフラーヴェクが比較的さらっとしているのに対し、エリシュカはややどっしりとしていて温かみのある演奏であり、対照的だが、どちらも良い(なお、ビエロフラーヴェクもフルシャの師匠であり、フルシャはエリシュカの柔らかさだけでなく、ビエロフラーヴェクのべたつかずさらっと流すところも受け継いでいるような気がする)。

今回の実演でも、やはりエリシュカらしい演奏になっていて、チェコの美しい田園風景が目に浮かぶようだった(これもやはり行ったことはなくて、イメージだが)。

フルシャもそうだが、今回のエリシュカも、どこかのパートをとりわけ強調したり、どれかの楽器を選択的にクリアに響かせたり、といった特別な工夫をしているわけでは一見なさそうなのに、あんなに弦も管も柔らかく、味わい深く、自然に響いてくるのは、なぜなのだろう?

 

 

エリシュカは、86歳とは思えない元気さで、カーテンコールで再登場するときには小走りさえするほどだった。

団員を丁寧に起立させて称えたり、自身はしばしばステージの真ん中に行かず端の方からオーケストラを称えたりして、とても良い人そうだった。

そういった印象は、彼の音楽性にもぴったり合っていた。

噂では、今回が最後の来日になる予定とのこと。

まだまだお元気そうなので惜しいけれど、まぁ日本は遠いし、来るだけでも大変だろう。

皆で惜しみない拍手と声援を贈った。

 

 


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