京都市立芸術大学音楽学部
第31回ピアノフェスティバル
【日時】
2017年6月16日(金) 開演 19:00 (開場 18:30)
【会場】
京都府立府民ホール・アルティ
【演奏】
京都市立芸術大学音楽学部 ピアノ専攻生
【プログラム】
1.高岸 杏奈(3回生)
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第27番 ホ短調 作品90
2.鶴岡 空輝(2回生)
シューマン:アレグロ ロ短調 作品8
3.仲吉 愛里(2回生)
サン=サーンス/リスト:死の舞踏 S.555
4.片山 紗恵(3回生)
リスト:バラード 第2番 ロ短調 S.171
5.小澤 美玲(3回生)
オネゲル:トッカータと変奏曲
6.安藤 里紗(3回生)
ヒナステラ:アルゼンチン舞曲集
1. 年老いた牛飼いの踊り
2. 優雅な乙女の踊り
3. ガウチョの踊り
7.芝野 速大(2回生)・南 杏佳(2回生)【連弾】
ローゼンプラット:2つのロシアの主題によるコンチェルティーノ
8.東辻 純(3回生)・林 海欧(3回生)【2台ピアノ】
ブラームス:交響曲 第2番 ニ長調 作品73 より 第3、4楽章
京都市立芸術大学音楽学部のピアノフェスティバルという催しがあり、聴きに行った。
2回生、3回生の皆さんがピアノを弾く、という会らしい。
天下の京芸だけあって、皆とてもうまい。
イマイチだなぁと思う人は一人もおらず、楽しませていただいた。
選曲もけっこうこだわりが感じられて、面白かった。
そんな中でも、ブラームスの交響曲第2番、これはやっぱり名曲だなぁと感じた。
プログラムノートによると、ブラームス自身による2台ピアノへの編曲であるらしい。
考えてみれば、私はこの交響曲をおそらく何百回と聴いているが(CDで)、ブラームス自身はせっかく苦労して書いたこの曲を、フルオーケストラの演奏で聴けた機会はおそらく数えるほどしかないのではないか。
ほとんどの場合は、こうした2台ピアノのバージョンなどで聴いたり弾いたりしていたのだろう。
そう思うと、録音というシロモノには色々と問題があり生演奏とは違うとはいえ、私たちはなんと幸福な時代に生まれたものだろう、と感慨深いものがある。
と同時に、このような2台ピアノの演奏を聴きながら、オーケストラで弾いたらどうなるのだろうと想像を膨らまし、いざ本当のオーケストラ演奏を聴く機会を持ったときのブラームスや当時の人々の感動たるや、今の私たちからは想像もつかないほど大きいものだったのだろうな―演奏を聴きながら、そんなことを考えた。
演奏は、林さんも音に力があって良かったが、特に東辻さんの滑らかかつパキッと引き締まった演奏がとても良かった(特に第3楽章のトリオ部分は、かなりのテンポなのに破綻がなく、キレがあった)。
その他では、ヒナステラのアルゼンチン舞曲集を弾いた安藤さんも良かった。
普段聴き慣れたアルゲリッチ盤の、南米の太陽のような明るく燦々としたパワーとはまた違った、クールな「乾いたノリ」みたいなものが感じられた。
技巧面も含め完成度が高かった。
小澤さんのオネゲルの「トッカータと変奏曲」もうまかったが、トッカータではやや重さもあり、同様の「乾いたノリ」みたいなものが感じられればなお良かったかもしれない。
とはいえ十分うまかったし、変奏曲のほうはしっとりして曲に合っていた気がする。
あと、片山さんのリストのバラード第2番も丁寧で良い演奏と思った。
このような楽しいピアノフェスティバルは大変ありがたい。
これからもたくさん開催してほしいものである。
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