京都市交響楽団 スプリング・コンサート 下野竜也 レスピーギ 「アッピア街道の松」 ほか | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

京都市交響楽団

スプリング・コンサート

 

【日時】

2017年4月9日(日) 2:00 pm 開演

 

【会場】

京都コンサートホール 大ホール

 

【演奏】

指揮:下野 竜也(常任首席客演指揮者)

管弦楽:京都市交響楽団

 

【プログラム】

ワーグナー:「ローエングリン」第3幕への前奏曲
パッヘルベル:カノン(ヴァイオリン合奏)

ブルッフ(飯田香編曲 SDA48版):ヴィオラと管弦楽のためのロマンス(ヴィオラ合奏)

ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ第1番より序奏(チェロ合奏)
フィッツェンハーゲン(中原達彦編曲):アヴェ・マリア(コントラバス合奏)

 

 ― 休憩 ―


マレッキ:2台のハープのための古典様式のコンチェルティーノより第3楽章

ヨーダー(野本洋介編曲):ハスケルのあばれ小僧
ラヴェル:「ダフニスとクロエ」第2組曲より
ベートーヴェン(中原達彦編曲):モーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」より「お手をどうぞ」の主題による変奏曲
アンダーソン:クラリネット・キャンディ
C.L.ディーッター:2本のファゴットのための協奏曲より第1楽章
ウェーバー:「魔弾の射手」より「狩人の合唱」
アンダーソン(中原達彦編曲):トランペット吹きの休日
ハーライン(宮川彬良編曲):星に願いを
ドミトル(早坂宏明編曲):ルーマニアン・ダンス第2番
レスピーギ:「ローマの松」より「アッピア街道の松」

 

 

 

 

 

下野竜也が、京響の常任首席客演指揮者に就任した。

その就任後初の演奏会が、今回のスプリング・コンサート。

彼の案で、各楽器の奏者たちがまんべんなく紹介されるようなプログラム構成になっている。

ほとんどが聴いたことのない曲で、各楽器がよく生かされ、聴いていてとても楽しく、良い企画だと思った。

 

特に、フィッツェンハーゲンの「アヴェ・マリア」は、こんなに美しい佳曲があったのかという発見と、コントラバスからはこんなに美しい音が出るのかという発見が同時にあって、「耳」から鱗だった(首席コントラバス奏者の黒川冬貴によるメロディの柔らかな歌わせ方も、いかにも曲に入り込んでいるような身振りも、良かった)。

 

また、楽しげで親しみやすい曲が続く中、フルートの出番ではラヴェルの「ダフニスとクロエ」の第3部の「パントマイム(無言劇)」が演奏され、他の曲とは一線を画した香り高い曲調に「さすがはラヴェル!」と唸らされた(他の曲はほとんど知らなかったのに対し、この曲はもともと好きだからかもしれないが。いずれにしても、「ダフニス」全曲演奏が聴きたいものである!)。

 

下野竜也の就任記念なのに、ほとんどの曲が各楽器の奏者たちのための曲で、彼自身が目立つような曲があまりなかったのが、いかにも彼らしい選曲である。

そんな中、最後のレスピーギ「アッピア街道の松」では、沸き立つような躍動感で彼の本領を発揮してくれた。

あらゆる周辺国を従えてきた無敵の古代ローマ軍の行進が、アッピア街道の石畳を進軍しながら、ファンファーレとともに遠くから少しずつ近づいてきて、最後には圧倒的な威容を見せる―そんな情景を彷彿とさせる、大きなクレッシェンド。

こういった音楽の生き生きとした描写にかけては、彼の右に出る指揮者は多くないだろう。

 

 


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