こんにちは。
お読みいただきありがとうございます。

iPhone SE2を使い始めてからちょうど1年が経ちました。振り返ってみるとわが家の初iPhoneは、2017年の夏に上の子どもが使い始めたiPhone 7でした。そのiPhone 7が、昨年の秋ごろから圏外で使えないとか、こちらの声が相手に聞こえないといったトラブルを子どもが口にするようになりました。ちょうどiPhone 12とiOS14がリリースされたあたりだったように記憶しています。おそらくそれらのトラブルを口実にiPhone 12がほしかったのではないかと思います。まあ、親の立場からすると


ふざけんなっ!
 

です。iOSのアップデート対象から外れるのであれば買い替える理由にはなるのですけれど。それらのトラブルに加えてバッテリーの持ちが相当悪くなっていたらしいので、修理のついでにバッテリーの交換も検討しましたが、ロジックボードとバッテリーを交換すると新品が買える値段になってしまいます。

 

一方で、私の使っているiPhone SE2は新品でも約5万円、SoCはiPhone 7より新しいA13 Bionicでメモリも3GBというハイコストパフォーマンス機です。iPhone 7や8の中古も含めて検討しましたが、調べてみると中古でも結構なお値段なんですね。結論としてはiPhone SE2をもう1台購入して、問題のiPhone 7は現役を引退させることで落ち着きました。

 


 

ところが、先日Webを見て回っていたとき、たまたま「圏外」の問題に対するiPhone7修理プログラムというページを発見しました。今さらのiPhone 7ではありますが、わが家には前述のiPhone 7が眠っています。このページの情報によると、対象は日本向けではモデル番号「A1779」とのこと。しまい込んでいたiPhone 7を慌てて取り出してきて背面パネルの刻印を確認しようとしましたが、これが冗談抜きで文字が小さすぎて全く読めないのです。スマホの拡大鏡アプリを使って判読したところ当該の「A1779」と刻印されていました。A1779のすべてというわけではないようですが、モデル番号は合致しています。ただ、ページの末尾に「最初の小売販売日から4年間、対象となるiPhone 7に対して適用」と気になる文言が書かれています。「最初の小売販売日」の意味ですが、その端末が最初に消費者に小売りされた日を指しているのではないかと思います。つまり、中古で手にした端末であれば「新品で(最初に)ユーザーが購入した日」を起点として4年間です。と考えるとわが家のiPhone 7は2017年の夏に新品で購入しているのでまだ4年は経っていません。

 

iPhoneは直営ストア購入品もキャリア販売モデルも、修理はApple社でしか受けてもらえません。他メーカーの端末だったら修理窓口がキャリアなので代替機を貸してもらえたりするわけですが、iPhoneに関してはそれができません。そのときに必要になるのが修理中に使う予備の端末です。もしこのiPhone 7を修理してもらえたら予備として置いておくことができます。また、わが家ではカミさんがバッテリーが半日しかもたないひん死状態のAndroidを使っているので、これを機会にカミさんにiPhoneデビューをしてもらうのにも使えそうです。

 

とにかく“ダメもと”でチャットでサポートに問い合わせをしてみました。以前、AIを使った別のところのチャットを使ったとき、やり取りがまったく要領を得なくて使い物にならなかった記憶があるのですが、この点Appleは専門のスタッフが対応してくださるようで話がサクサク進みました。お願いした日時にヤマト運輸のドライバーさんが自宅まで回収に来てくださり、端末を渡すだけで終わりです。この後はWebで進捗を確認することができます。発送の翌営業日にリペアセンターに到着し、ステータスが「調査中」に、その日の夕方には「交換」「発送準備」に変わりました。想像ですが、チャットで伝えたシリアル番号で、対象品か否かのトレースがすぐに判断できるのかもしれません。修理ではなくあっさりと交換となったようです。かくして発送から3営業日で交換品が手元に返送されてきました。

 

 

 

付属品はないので薄い箱に入っており、表面・背面の保護フィルムも貼られています。

 

 

当たり前ですが、本体色は元と同じPRODUCT REDです。久しぶりに眺めましたが、ベゼルがホワイトなのは新鮮です。手元にある私のiPhone SE2の本体色はホワイトですが、ベゼルはブラックです。背面の材質はアルミニウムでマット仕上げもかっこいいです。

 

戻ってきたiPhone 7は、ひとまずカミさんにiPhoneデビューしてもらうことにして初期設定を進めました。その途中でカミさん用のApple IDの新規作成に入るわけですが、ここで問題が発生。

 

 

見たことのないメッセージです。おそらく交換品は新品ではなく修理で返却された機体を整備・調整し、必要に応じて新しい部品を追加してリビルドされたもので、中のロジックボードは過去に別のユーザーが使っていたものではないでしょうか。というのも、起動直後のiOSは13.4.1(2020年4月リリース)でしたが、iPhone 7の製造はこの前の年に終了しています。

 

上記のメッセージは初期設定の中でApple IDが作成できないというだけで、Webからは普通に作成できるのでまったく問題はありません。

 

ディスプレイガラス、筐体はキズひとつないもので、バッテリーの状態も100%となっていたので文句はありません。

 


 

先にも書いたように、このiPhone 7はもうすぐ購入から4年を迎えますが、今回のスムーズな対応はApple社だったからこそのような気がしています。Apple社の製品は総じて高めですが、それだけのことはあるなと感じました。

 

以前別なところで書いたことがあるのですが、商売はお客さんを“その気にさせる”ことができるかどうかで決まると思っています。“その気にさせる”というのは騙したり嘘をついたりすることではなく、“気持ちよく財布を開いてもらう”という意味です。その点、Apple社は“良いモノを高く売る”ことに長けていると言えるでしょう。

 

飲食店だったら、「美味しかった、ごちそうさま!」とお客さんに気持ちよく言ってもらわないといけません。これを左右するのは、単に値段・味・ボリュームのバランス、いわゆるコスパだけではなく、あの店だから…と思ってもらえるかどうかですね。料理で万人に合格点をもらうのは難しいでしょうが、「お店の雰囲気が…」「接客態度が…」「並んで待たせるから…」などと言われてしまっては駄目です。たとえば接客態度ひとつとっても「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」は当然のことで、気の利く店員さんが常に客席に目を配り、お客さんから声を掛けられる前にさりげなくお伺いを立てるのもGood Pointにつながるでしょう。

 

そういった視点でApple社を眺めてみると実に上手いです。Apple社の製品やサービスは、

  • ハードウェア、ソフトウェア、直営店舗(Appleストア)のデザインがシンプルで統一感がある=スタイリッシュで高級感がある
  • 製品の価格は高めに設定されていて安売りをしない(させない)=良いモノを高く売る
  • 直営店舗をたくさん出店しない=利便性は犠牲となるが希少性が高くなる
  • 直営店舗のスタッフを多めに配置して且つ多言語で接客する=ホスピタリティを高める
  • 新製品の情報をギリギリまで秘匿する=期待やワクワク感を高める

といった戦略で展開されているようです。今回のiPhone 7を購入した4年前の私は、iPhoneに触れるのも直営店舗を訪れるのも初めてでしたが、私の極めてレベルの低い疑問や質問にも根気よく丁寧に答えてくださり、量販店や携帯電話のキャリアショップと違って途中で売り口上や値段の話は出てきません。徐々に私が“その気に”させられてやり取りが商談に移っていくわけですが、絶妙なタイミングで別のスタッフが私が口にしていた赤(PRODUCT RED)の本体をそっとテーブルに持ってきたのです。おそらく私を接客していたスタッフのインカムを通して会話がバックヤードでモニターされていて、商談が大詰めとなったタイミングで私が購入しようとしているモデルをテーブルに出してきたのだと思います。そうでもしないかぎり、あのタイミングでさりげなくテーブルに出てはこないはずです。ちょっとした工夫だけれど、すごい仕組みだなあと感心したのを覚えています。

 

ちなみにこのとき本体の購入を済ませた後で、店舗の上階に移動して純正品のガラスフィルムを貼ってもらいました。正直値段は高めでしたが、目の前でその一部始終を説明しながら実演してくださり、結果としては値段に見合った面白い体験ができたと感じました。

 

いいモノを高く売る、ちょっと間違えるとレクサス臭い商売になってしまいそうですが(失礼)、日本でこの考え方を実践しているのは思いつくところではキーエンスかなあ。