こんにちは。以下、週末に書いたものをアップします。

 

使い始めて2ヵ月が経った楽天モバイル(以下、楽天)ですが、あれこれ興味が尽きず、かなり楽しませていただいています。“楽しむ”というのはユーザーとしての好奇心を満たしてくれるという意味ですが、これに対して“中の人”は相当大変だろうなあとお察し申し上げます。

 

先日大きなニュースになりましたが、自社端末のRakuten Miniで、総務省へ届出をしないまま対応する周波数(バンド)を変更していたことがニュースになりましたね。「北米での利便性を考えてバンド[1]から[4][5]に変更を」というコメントが発表されていましたが、このご時世にアメリカへ行く人はほとんどいないわけで、その一方でバンド[1]はドコモ、au、Softbankの3社が使っている各社メインのバンドであり、1円で手に入れたRakuten Miniを、eSIMの発行が可能なIIJmioのMVNOサービスで使われたくなかったというのが本音でしょうね。

 


 

さて、私はこれまで使ってきたIIJmioを解約せずに楽天を新規で契約しています。契約に際して楽天の端末は購入せずにSIMカードだけの契約です。いわゆる様子見でいこうというスタンスです。以前の記事で書きましたが、同じタイミングでiPhone SE2を購入したのでこいつに楽天SIMを挿して使ってみるつもりでした。“でした”と過去形で書いているのは、既にiPhoneから楽天のSIMを抜いてしまっているからです。正直なところ、早まってIIJmioを解約しなくて正解でした。もしMNPで契約していたら“楽しむ”どころの話ではなくなっていたと思います。

 

iPhoneで生じる制約事項はひととおり調べていたのでいいとして、問題は都心部の職場で楽天の自社回線の品質が思わしくなかったことです。この界隈はパートナー回線には切り替わらない場所のようで、窓際から離れるとすぐに圏外になってしまう状況です。これは動作保証外のiPhoneだからという問題ではなく、Rakuten Miniを契約した職場の同僚も同じ状況でパートナー回線に切り替わることなく、建物内ではまったく使い物にならなりません。プライベート用の端末とはいえ、今どきさすがにこれは...。

 

そんなこともあって、iPhoneにはIIJmioのSIMを入れて、楽天のSIMはこれまで使ってきたドコモのGalaxy Feel(SC-04J)に入れることにしました。Galaxy Feelは3年近く前に白ロムで購入した端末で、最初からSIMロックは解除されていました。バッテリーのもちが非常に良いのが特徴で、ディスプレイは4.7インチでiPhone SE2とほぼ同じ大きさ、当時は多めだった3GBのRAMを積んでいて、今に至るまで不自由なく使い続けることができました。しかも、Samsung向けのツールを使うと、rootを取らずにプリインストールされたあらゆるアプリを無効化できるという優れモノでした。

 

このGalaxy Feel、MVNOのドコモ回線で使う分にはSIMロックの状態は問わないのですが、楽天で使うにはSIMロックが解除されていないと使えないはずで、こんなところでSIMフリー状態が役に立つとは思っていませんでした。Galaxy Feelが対応するLTEバンドは[1][3][19][21]で、完全なドコモ仕様となっており、楽天の自社回線は使えるもののパートナー回線である[18][26]に対応していません。この仕様をどう捉えるか、です。パートナー回線が使えず[3]しか使えるない、即ちエリアは限定(LIMIT)されるものの楽天エリア専用の端末になるとも考えられます。しかもラッキーなことにAndroidには、各種通信状況をリアルタイムに観察できるアプリがたくさんリリースされていて、遊び尽くすにはうってつけです(iOSには同種のアプリがまったくありません)。

 

1か月半に渡ってNetwork Cell Info Liteというアプリを使って楽天の自社回線を観察しました。まず、職場の状況ですが窓際でRSRPは-120dBぐらい。不安定だけどまあ使えなくはないかな、というレベルです。窓際から離れるとすぐに-130dBに落ち込んでしまい、これだといつ圏外になってもおかしくありません。ここで誤解を生みやすいのがアンテナピクトの表示で、-120~-110dBでもアンテナピクトでは2/4~4/4を指していることです。ちなみに郊外でよく見かける地上高10m強程度のコンクリート柱の基地局だと数十メートルぐらいの場所が最大で、-50dBぐらいを指します。

 

車で移動するときもダッシュボードのドリンクホルダにGalaxy Feelを置いて観察してみましたが、まず公式サイトのエリアマップはかなり正確だという印象を受けました。もちろん限られた移動範囲ですが、たとえば国道4号線だと、草加付近から「元荒川橋」交差点ぐらいまではほぼ-120~-110dBぐらい。現時点で国道沿いで稼働している基地局はまだ無いようです。この状況は越谷市の「下間久里」交差点付近で圏外に転じます。乗用車のダッシュボード上でこの状況なので、沿道の屋内だと自社回線エリアとしてはかなり厳しいでしょう。バイパス道は高架で見晴らしがよくなるためいったん圏内になりますが、高架を下った「下間久里北」交差点付近で完全に圏外になります。4号バイパスでこの先再び圏内になるのは国道16号線と交差する「庄和」の手前付近ですが、これも部分的で期待できません。一方、「下間久里」交差点で分岐する4号旧道は、「せんげん台」交差点付近からは絶望的です。「備後南」付近など、局所的に-120dBぐらい振れるところもありますが、おそらく屋内では実用的とは言い難いでしょう。春日部駅周辺も東口側は圏外でした。公式サイトのエリアマップで塗り分けを眺めているとわかりますが、どうも東武伊勢崎線(スカイツリーライン)をエリア端として設計されているような印象です。これらはあくまでも楽天の自社回線エリアに限っての話でして、パートナー回線では問題なく使えます。ただ、動作確認済み端末に入っていないiPhoneの場合は、パートナー回線から楽天の自社回線に自動で切り替わらないという既知の問題があるようなので要注意です。

 

完全に楽天回線専用端末と化したGalaxy Feelの使い道ですが、テザリングを起動したまま職場の窓際に置いてモバイルルーターとして使ってみました。もともと楽天は回線速度が速く、昼休みの時間帯でもほとんど速度低下を起こさないため、テザリングで使っても快適です。しかも前述のように元々Galaxy Feelのバッテリーはもちが良いので、日中の10時間程度なら連続使用でもまったく問題ありません。このテザリング端末としてモバイルルーター化させた遊びは、面白くなってしまってどんどん加速していくのですが、長くなってしまうので別記事にします。

 

なお、23区内ターミナル駅至近の職場の建物内で圏外になってしまう事象は、要望受付フォームから楽天に送りました。これに対して先日回答のメールがありました。私が問い合わせたのは前述の職場付近及び建物内での状況の説明と改善要望だったのですが、その回答はピントのずれたもので、iPhoneでの制限事項が列挙され、結論としては「動作確認済み端末を使ってください」という内容で正直がっかりしました。Rakuten Miniを契約した同僚もこれには失笑していました。今は“面”として自社エリアを拡大させていくことが最優先のフェーズであって、エリア内の補完やチューニングが後回しになってしまうのは仕方がないとは思います。ただ、ラバースタンプな「動作確認済み端末を使ってください」という回答は如何なものかな、と思いますね。

 


 

先日楽天が100万契約達成のリリースを出しました。内訳は公表されていませんが、多くは新規、つまり私のような2台目のユーザーではないかと思われます。この“2台目”のユーザーは、私のように様子見で使っているユーザーが多いと思われ、1年後に不満が多ければ解約が続出することも容易に想像できます。

 

一方、遊び倒すつもりでここまで使ってみて思ったのですが、楽天LIMITとでも銘打って楽天自社エリアにのみ対応するSIMを出してみてはいかがでしょうか。このSIMに通話は不要で、Rakuten Linkも対応させる必要はありません。基本はSIMのみの契約とし、無用なサポートを抑えるために自社端末とのセット販売もしなくていいいです。このSIMを契約するユーザーのほとんどはテザリングを含めモバイルルーターとして使うはずで、すべてを理解した上で自己責任での選択とすれば、クレームも生じにくくサポートのコストも抑えられると思います。月額料金は千円台前半ぐらいまでならそこそこ契約者数が見込めるのではないでしょうか。このSIMに関していえば、通常のUN-LIMIT契約と異なり、パートナー回線であるKDDIへのローミング接続料金が一切発生しないわけで、月額利用料はそのまま収益として織り込めるというメリットもあります。

 

このSIMのライバルはWiMAXやLTEルーターですが、各社とも月額3~4千円程度はかかります。これに対してエリアはLIMITされるものの、圧倒的な低コストで安定したサービス品質であればそれなりのユーザーは獲得できるのではないでしょうか。要は、楽天の自社回線エリアで生活しているのであれば、バンド[3]しか使えなくてもほぼ問題ないわけです。

 

楽天さん、是非ともご検討いただけないでしょうか?