明日は、パリへと発つ予定だった日。
ついに、1ヶ月、連絡が途絶えたままに。この日が来てしまった。
エアーの予約サイトのステイタスは、ずっとカード決済の承認を待つばかりになったまま。
そっと、ただひとことお祝いだけを書いたバースデーカードを送った。
あの部屋に置いてきた、私のかおりをそっと閉じ込めて。
彼の部屋に遺した、私がいつも使うかおり。あの瓶は、今はどこにあるのだろう。
来週パリから戻ったら。彼はそっとあのドアの隙間から差し込まれたカードを見つけるのだろうか。
その、たったひとことだけを書いたカード。その1行、1枚のために。
10枚以上のバースデーカードを購入し、3枚も書き直した。私らしいみっともなさである。
ラデュレに行き、共にマカロンを選びたかった。二人でzadig&voltaireでお買い物したかった。
私のパリの元同僚、不思議なビルを見せたかったな。
そんな想いは寂しく潰える。せめてもの慰みに、パリで買ったガムを嚼み潰す。
これにて、気持ちを咀嚼整理。
そして次。
着信拒否を無視し、1週間で不在20件以上。電話をかけまくるB男に電話。
「聞いてよー、3日目で別居、もう実家。来週からマンション別に借りて一人暮らしするよー。」
開口一番。相も変わらず、わけの分からない事を言う。
知るか。あらかた、週末に身内だけのお祝いでもする準備で帰っているのだろうに。
無視して応える。
私は、新婚のあなたから愚痴を聞く立場でもない。
あなたと私は、そのような関係ではないはず。
相手の方にも、失礼ですから。そんな無神経な不愉快なことは、やめましょう。
今後、コンタクトしないで下さい。
突如、ご機嫌の愛好は崩れ、黙る男。
私も沈黙を引き継ぎ。黙って、電話を切った。
知ってる。彼とは切っても切れないものがあることは。
でも、あれから7ヶ月。4月末のXデーを向かえる前に、自分からもう終止符を打ちたかった。
さよなら。私の愛した男たち。
それでも残念ながら、とても愛しているけれど。
さようなら。