もう、だめです。
誰か、助けて。
ぼろぼろに傷ついても立ち上がり
ぼろぼろの羽で飛ぼうとしましたが
ぼろぼろの羽の小鳥を介抱してくれたのは
心にふかい傷を負った旅人でした。
今度こそ暖かい巣を見つけたと、旅人のもとへ飛ぼうとした鳥は
ぼろぼろの羽を、もっとぼろぼろにして、たどり着きました。
でも、旅人は
旅人の飼っていた美しい愛犬に噛まれた傷の手当てと、その傷の手当てしかできません。
たどり着いた小鳥の世話をする余裕は、どこにもなかったのです。
ぼろぼろの鳥は、傷ついた羽を休める場所もありませんでした。
少しでも旅人を喜ばせようと、傷ついた羽で、旅人の傷の手当てを手伝いましたが
小鳥も愛犬に羽をむしりとられました。
痛みを堪え、旅人が元気になるように。愉しげに詩い、舞い踊り、羽ばたき続けました。
あったかいベッドにたどり着くために。
旅人の手のひらで包んでもらえるように。
ほんとうは、一番傷ついていたのは小鳥だったのに。
小鳥はもう、どこにも動けません。
ただ、全てを失い
ぼろぼろの羽をかかえ、遠き地で果ててゆくのです。