彼の妖怪好き、水木しげるフェチがバレた 頃、そんな私の微妙な躊躇を汲み取ったのか、彼はずいぶんベッドで情熱的だった。とにかく、長い。そしてイタリア人の血を引くためか、愛情表現が豊かである。
私は彼とベッドを共にする度に、テニスブレス、ブレス、ピアス。色々なものを無くした。いつも朝起きて、無くしたジュエリーを探すのに、大騒ぎだった。
一緒にいるようになって1月ほど経った頃。週末家に行くと、一通の不在通知が置いてあった。彼は私にそれを訳させ、再配達の連絡をして欲しいと言う。
もちろん、喜んで引き受け、ランチを食べ終わった頃、荷物が届いた。
大きな、船便の荷物。落ち着かぬ素振りで、いち早く荷物を開ける彼。まるでクリスマスのプレゼントを開ける子供のようだ。
かわいい
荷物を空けると、出てきたのは。大きな、ハーレーダビッドソンの、ごみ箱。
その中には、歯磨き粉、その他ドラッグストアで買ったものが山と入っている。
「これは?」 と聞くと、彼は無邪気に
「フロリダのDadのところに行った時、スーパーで買ったの。日本じゃ、売ってないでしょ?」
「・・・・・うん・・・・。」
値札を見ると、$9.99.-
ShippingFeeは、$49.50.
まったくもって、お子ちゃまである。
ごみ箱を、いそいそとセットする彼。わたしは、10本の歯磨き粉をしまおうとキャビネを開ける。すると、そこには同じColgateの歯磨き粉が、既に5本入っていた。
「これが、好きなの。日本で買うと、高いから。いつもまとめ買いするんだ」
と、彼は無邪気に話す。
どうも、収集癖があるらしい。お得なのか、損なのか・・・?金銭感覚は謎である。
お買い物と言えば。衝動買いも多く。
とある時。
「Sweetie、あのね。謝らなくちゃいけないことがあるんだ」 と、言い出した。
一瞬、どきりとした。浮気?それとも嘘??何????
彼は、不安に満ちた私の顔を、その手のひらで包み込み。こう言った。
「衝動買い。しちゃったんだ。」
なあんだ、そんなことか。と安堵しつつも、優しく私は聞き返す
「何を?怒らないから、言ってごらん」
彼はなかなか言わない。
「わかった。またバイク?」「違う」「じゃあ、車でしょ??」「・・ううん。」「じゃあ、何???」
何度も問いただすと、ようやく彼は答えた。
「いえ・・・・」
「え?家??」 「も、もしかして、この白金の家を買ったの??」 と聞くと
「ううん。フロリダに、家を買ったんだ。とてもいい物件で。一緒に行こうよ。」
と、にこやかに答える。
あの、もしもし?先日もIbizaに別荘を買ったんじゃありませんでしたっけ??
「そう。だから僕、とてもPoorBoyなんだ・・・。honey、ごめんね。」と、キスをした。
このあたりから、私の気持ちは微妙にずれ始めていたのだろう。
何となく、忙しい日々の合間を縫って会うことが少なくなり、彼の家に行くのも、誰かと外で飲んだ後だったり。彼はいつも、「来るのが遅いよ」と言って、拗ねていた。そのためか、彼も、約束のデートを直前にキャンセルすることが何度か起きた。
決定的に、私を驚かせ、雪崩のように全てが壊れる音がしたのは。この数週間後であった。
時は12月。彼は、友達があまりいない。
親友は、Marc。いつも一緒にいる。その仲のよさは、ちょっと首を傾げるほど。
とある週末。いつものように彼の家で夕食の後、2人でDVD観る準備をしていた。
そこに、Marcからの電話。話が聞こえてくる。「すぐ行くよ」 と言っている。
彼は電話を切ると、私に向き合い、
「ごめん。行かなきゃ。待っててもいいけど、どうする?」と言う。
いや、行かなきゃって。しかも、私が一緒に行くというオプションはないのか?
やや怒り口調で彼に理由を聞くと、
「だって、Marcがパーティーをしていて。チキンブレストがないから困ってる。僕が持って行ってあげないと。」と言い出す始末。
呆れかえり、私は身支度を整え。彼と一緒に家を出た。
その時期、彼もかなり忙しかったのは事実だろう。いつも深夜オフィスから電話がかかってきた。
そしてしばらく、彼とは会わずに時間が流れた。
年末。クリスマス休暇で帰省する彼から、「会いたい」と連絡があった。
しかしこれが、別れへの第一歩であるとは、この時は想像し難かった。
・・・次号は別れと運命の再開・・・・
