[2008.9.20西表]更にディープなマングローブツアーを堪能す。(その2)
さて。
ディープマングローブ見学ツアー・ぷれぜんてっどばーい馬場先生、まだまだ続きます。
はい、かなりコアな箇所に差し掛かって参りました。
手前に見える湾曲した根がヤエヤマヒルギのもの、そして道なりに奥から手前にかけてぴょこぴょこ飛び出している根がオヒルギのものです。
オヒルギは既にこのブログでも何度か登場しましたが、皆様覚えていらっしゃいますでしょうか?
そう、このタコウインナーのような花を咲かせるマングローブです。
このオヒルギの特徴はなんといってもこの特異な風貌の根であります。
「…ニョロニョロが沢山いるような…」
とは参加者女子の弁。
うーむ、言いえて妙かも。
この根、人が膝を曲げた姿に似ていることから「膝根」と呼ばれています。
何度かご紹介してきたように、マングローブは汽水域の泥に生育してるのでこのような「呼吸根」を発達させています。
その形状は種により様々で、マヤプシギ、ヒルギダマシのような剣山状のもの(地表につんつん出ている)、ヤエヤマヒルギのように幹の高い部分から恰も支柱のように出ているもの、そして同じく幹の高いところから板状に幅広くでているもの(板根)などがあります。
何れも不思議な根ではありますが、中でも馬場先生のようなマングローブの大家をして
「こりゃあ未だにメカニズムがさっぱり分らん」
と言わしめるのは当にこのオヒルギの膝根なのであります。
まず、膝根が上(つまり、地表)に根を伸ばすのは、光センサーのようなものが存在するからなのだろうとのことです。
これは非常に分かりやすいですね。
植物は基本光に向かって伸びるメカニズムを備えているというのは、素人にも納得がいくところであります。
ではその後、下に沈むのは何によってなのでしょうか?
これは恐らく、重力センサーが働くのだろうということでした。
つまり、膝根は
暫く地中を這う→光センサーで上に伸びあがる→ある程度伸びあがったところで重力センサーが働き伸び下がる(ってなんだ?)→またもや暫く地中を這う
ということを繰り返しているようです。
しかし、こういうプロセスを踏むには植物自体に大変な労力がかかります。
ここまでの労力を払う意義とは一体何なのでしょう?
この意義はまだ分かっていません。
ただひとつ分かっているのは、生物は決して無駄な労力を払ったり、無駄な性質を発展させないということです。
故に、オヒルギが膝根を発展させたという事実にも、なにやらのっぴきならない事情が隠されているのだと思われます。
ここで一つ、素人考を披露させて頂きますと…
・本体をしっかり支えるため、泥の中で根を伸ばしたい
・けれど泥の中は酸素含有率が少ないから、しっかり呼吸もしたい
・それでいて根の本数自体はなるべく少なくして、最大多数の最大幸福、じゃなかった最大効率を狙いたい
という我儘を叶えるべく、倒れないよう地に根を伸ばしつつ、呼吸のために高感度センサー二種を使い分け、地表から頭を擡げたりひっこめたりしているのではないかと思っています。
要は、オヒルギさんは根を少数、且つ精鋭にしているのではないでしょうか。
まあ、素人の考えることですので話半分にお聞きいただけましたら幸いですが、この奇妙な形体の膝根をみるとついつい色んな事を考えてしまいます。
ときに、先ほどの馬場先生のお話にもあったように、膝根の生成には光センサーやら重力センサーを駆使されていると「考えられる」までも、どのような物質やらDNAやらがそのような指令をだしているのかといった化学的、或いは生物分子学的メカニズムは全く分かっていないようです。
どなたかこのメカニズム、是非解明してみてください。
ノーベル賞も夢じゃない!かも。
(昨今の金融事情で賞金も目減りしているらしいので是非お早めに!)
しょーもないことを書きつつ
ま だ ま だ 続 き ま す