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死産に関する記事です。

閲覧は自己責任でお願いいたします。

※このブログは2018年4月末、18週2日で初産で死産をしたことの記録をするものです。
はじめての方はこちらの記事をご覧ください。
 

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※全ての記事に心情の付記がありますこと、あらかじめご了承ください。

 

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◆17週5日◆

 

前日に子宮内で赤ちゃんの心拍停止が告げられてから私たち夫婦は泣き続け、ほとんど眠らずに朝を迎えました。

偶然日曜日で夫の仕事は休みだったので、一緒にいました。

 

まだ性別が分かっていなかったので、この時点では赤ちゃんに名前はありませんでしたが、急遽名前をつけることにしました。

つわりが比較的落ち着いて私が会話できる時にいくつか男女別に候補を出していたのです。

主人が何となくだったと思うのですが"ray"(英語で光の意味)っていいよね、と言ったのをきっかけに「れい」という音がつく名前をいくつか考えていました。

男女どちらでも「レイ」ならいいだろう、ということで、漢字は公開しませんが、私たちは赤ちゃんを「レイ」と命名しました。

(音は夫、漢字は私が決めたのですが、めっちゃ苗字と合わせてめっちゃかっこいい名前です。自画自賛ですw)

 

私は入院中に何度か出血をしており、お腹をさすると出血するので触らないようにと繰り返し言われていました。

だからお腹をさすって話しかける、なんていう、普通の妊婦さんがやっていることが出来なかった。

というより、レイに話しかけることすらできなかった。止まらない嘔吐と尋常でない唾液。

唾液は1日2リットル近く吐いていて、口の中が常に唾液でパンパンで会話もままならない状況だった。

食事はもちろん何か月もまともなものを口にしておらず、ほとんど水だって飲んでいなかった。

 

本当は名前を呼んで、お腹に話しかけて、歌だって歌いたかった。

栄養のあるごはんを食べて、運動だってしたかった。

 

 

もう今更何もかもが遅かった。

だって、レイは死んでしまったのだから。

 

 

それでもまだ、レイはお腹の中に、今、いてくれる。確かにここにいてくれているのだ。

 

そう思って、名前を付けてから、本当に遅くなってしまったけれど、たくさん名を呼び、お腹を撫でた。

夫は泣いていた。

ずっと泣いて「レイ、俺を置いていかないでくれ」と私のお腹に縋った。何度も何度も。

夫はこうも言った。

「生き返ってくれ。俺の命なんかいらないから、心臓動いてくれよ」

彼はずっとずっと泣き叫んでいた。

 

私はそれを見ているしか出来なかった。そして謝るしか出来なかった。

彼がこんなに愛した存在を守れなかった。最低だった。

 

 

 

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少し話が逸れるが、私個人には子を産みたいという気持ちは全くなかった。夫が望んだから孕んだというシンプルな理由しかない。

でもレイが宿ってから不思議なもので、母性本能というやつが芽生えたようだった。

聞いたこともない酷い悪阻で苦しみ続けても、不思議とレイを一度も恨んだことも責めたこともなかった。おろしたいということも思わなかった。

ただ、二度と妊娠したくないとは思ったけれど。

私は夫を本当に愛している。私は本当に何も持っていない人間で、それなのに夫にはたくさん幸せにしてもらった。だから、彼が心の底から欲しい彼の子どもを産むことで恩返しができる。何としてでも産んで、彼がこの子を抱っこして笑ったところを見て死にたい。

そう思って過ごしていた。

15w頃、突然ぽこん、とお腹が前に出た。率直に言って嬉しかった。赤ちゃん、大きくなってるんだな。私はこんなんだけど、頑張ってくれてるんだな。そう思った。本当に嬉しかった。

夫とは少し違う形かもしれなかったけれど、私もお腹にいるレイを愛しているんだな、と思った瞬間だった。

 

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その日は何か食べなきゃ、と言いながら、結局二人ともまともに食事をすることが出来なかった。

明日になったら病院に行って、恐らく避けようのない宣告をされる。

表現のしようのない感情が私たちを包んでいた。

 

 

夜、お風呂に入ろうということになった。

私たち夫婦は基本的に一緒にお風呂には入らない。でも、レイと一緒に入れるのはこれが最後かもしれない。

そう思って三人でお風呂に入った。

大きくなったお腹を洗いながら、夫はやっぱりずっと泣いていた。私も泣いていた。

 

 

つづく