負けたら終わりの10kmレース一発勝負。しかもメンバー入り確定の選手を除き、自分を含めた力の近い3人のうち残れるのはたった一人。



前日までの緊張感から当日は少し解放されて、スタートラインに着く頃は多少の落ち着きを取り戻していました。



そして運命のスタート。
予想通り最初はハイペースの飛び出し。自分自身も1kmまではリズムに乗るためにこの流れに乗りました。脚の状態も悪くなく転倒などのアクシデントもなし、

このくらいは上がるだろうと思った感覚で1kmを通過。チームメイトAはすでに前方の集団、もう一人のBは自分の後方。挟まれる状態で進むことになりました。


2km以降は自分の想定した通りのペースで集団が進んでおり、逆に言えばここから落ちればアウトという事を意味しているのでした。
早めに前に追い付きたい、今のうちに後ろを引き離したい思いはあったものの、とにかく前半5kmまでは冷静に…自分自身を過信しないように気をつけながら集団で待機。


そのおかげか3kmを過ぎて先行するAが集団からこぼれ、徐々に距離が縮まってきました。
とはいえまだ50m以上の差。追いつくのは中間点以降で十分だし、今飛ばした反動で後ろのBに抜かれるのが一番危惧すべきこと。タイムよりも順位だからこそです。



中間点を通過してタイムもまずまず。もちろん余力もあるし何より前のAにほぼ追いついていました。
集団の流れのままAをかわしてラスト4kmでとうとうメンバー圏内に突入。一気にプレッシャーが高まります。ここから先ゴールまて誰も自分の前へ出してはいけない…


良い流れだと思っていた集団もいつの間にかバラけており、実はペースも落ちていました。レース前に晴れ間が出ていた事もあって蒸し暑さがぶり返しており、思った以上に自分の呼吸も苦しくなりつつあり。
もしかしたら後ろからかなり詰められてるんじゃないか、残り3kmを切ったこの場面で追いつかれて逃げ切れるのか…振り返るのも怖くてたまらない心理状態でしたが、勇気を出して後方を確認。


一瞬しか確認できずどちらか判断できませんでしたが、確かにチームユニの色の選手がいました。それも後方20mほどの位置。


まずい、今のペースのままなら確実に追いつかれる。仮にどちらの選手だったとしてもラストスパートになったらスピードの無い自分には分が悪すぎる。



どうしたらいい……?




百m前後の僅かなの間、悩みに悩んでラスト1、5kmで出した結論。




ここから全力で逃げる



自分自身もこの時点でかなり限界でした。ラスト1kmを切って多少スパートできる自信はありましたが、あくまでセーフティリードだった時にしっかり逃げ切れる程度の余力しか無い状態だったので。


とはいえ今のリードでここからペースを上げなかったら確実に追いつかれるはず。
さらにラスト1kmを切ればスパートできるのは相手も同じなわけで。だったら一か八かの賭けでしたが今このタイミングでペースを切り替えれば相手もすぐには対応できないはず。

でもこちらがゴールまでに限界がきたら……?

そんな事は知らん(笑)とにかくここから100mでも逃げて、向こうが諦めるかこちらが限界を迎えるか。これで追いつかれるなら相手の実力だし、得意のスタミナ勝負で負けるなら自分も悔いはない…いや後悔はするか。



両腿は疲労で攣りそうなほどに張っていましたが、あと1分、いや30秒だけでももってくれればいいと思って必死に動かしました。
それでもゴールまではようやくあと1km。決して短い距離ではないし後ろとの差も分からずさらに不安は満ちてきて。

でも負けたくない。理屈とかここまでの過程とかどうでもいいからこの勝負だけは負けたくない。何ならこのスパートで脚が壊れても心臓が爆発してもいい、本末転倒この上ないけど。だからそのくらい残ってる力を全部出しきりたい。
ゴールは向こうからやってこないわけで、自分の力で切るしかないんだから。



何年ぶりか分からないくらい追い込んで集中したレースでした。無我夢中で駆け抜けたゴールライン。自分は勝ったのか負けたのかもその瞬間は分からず、直後に「お疲れ様!」と背中を叩かれて我に返りました。あ、勝ってたんだ…

実は逃げ切った相手は最初後方にいたチームメイトBでした。実はこの人の方がラストのスピードは強いので逃げ切るための難易度は高かったという…現にラスト1kmで数秒詰められてたし(滝汗)

でも自分のラスト1kmもここ最近の全力インターバルより速かったんですよね。いかに壮絶な戦いになっていたかがよく分かりました。



改めて自分がメンバー入りできた事を確認した後も思いの外気持ちは冷静でした。もっとガッツポーズで喜ぶのかと思ったけど、僅か4秒差で立場が逆だった事を考えると喜びよりもとにかく安堵感が圧倒的だったので…






長々と語ってしまいましたが、どうしてもあの10kmは個人的に振り返りたくて文章にした次第です。
駅伝の区間も無事に決まりまして、ここからは本番に向けた練習と調整をしていくようになります。日頃応援して頂いているブログの皆様にも本当に感謝申し上げます。ありがとうございました!