電車の優先席、皆さんは席を譲られたことがありますか?お年寄りの方は譲られたことがあるかもしれませんね。私もあります。いえ、私はお年寄りではありませんよ。ではなぜ?

 

 それは、登山に使うトレッキングポールを買った帰りのことでした。登山用品店が近くにないので電車に1時間乗って買いに行ったのですが、この商品、包装されずそのままシールを貼られるだけなのです。

 帰りはこのトレッキングポールを持っている訳です。電車に乗ってずっと立っているとこれに体重を載せると少し楽になります。それが優先席の斜め前でした。と、書いたところでお判りになったと思います。そう、そんな私を杖をついた体の不自由な人と思われたのでしょう、優先席に座っていた女性が手を伸ばし、こちらに座りなさいと席を譲ってくれたのです。なんと優しい方でしょう。

 

 「これは山登りに使うもので先ほど買ったものなんです。大丈夫ですよ」(勘違いさせてごめんなさい)

 

 この話とは対照的になりますが、皆さんは電車の優先席に座っていて注意されたことがありますか。実はここからが本題で障がいを持つ若い人が優先席に座っていたら注意されてしまったという話です。

 

 この方が電車の優先席に座っていた時のことです。正面に座っていた中年女性の視線を感じているとその女性が立ち上がって目の前に来て言いました。

 

 「ここはあなたが座る席じゃない。違う席に移りなさい」

 

 義足、義手であってもスーツを着ていると一見わかりません。障がい者手帳を見てもらい説明したところ、女性から深く謝られたそうです。多分、この女性は障がい者に注意してしまった自分に引け目と恥ずかしさを覚えたのではないでしょうか。そんなことも察してか注意されてしまった方はこう言いました。

 

 「あなたのように注意してくれる人のおかげで、本当に座るべき人が座れることもあります。声に出していただいてありがとうございます」

 

 この神対応のおかげでこの女性の心理的ダメージは最小限に抑えられたものと思います。そして多くの方がこの対応に賛辞を表わしています。しかし、異なる意見も出ているのです。あなたはどう思いましたか?

 

 「ここはあなたが座る席じゃない」かどうかは見た目ではわからないこともあります。見えていないことにも思いを巡らせることも必要な場合があると学んだお話でした。