公的年金の運用損失、10年度2999億円 ただちに給付に影響はない | グロリオの日記

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年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は6日、2010年度の公的年金の運用実績を発表した。長引く円高や東日本大震災後の株安で外国債券と国内株式の運用が振るわず、2999億円の損失を計上した。損失は2年ぶり。年金給付に直ちに影響することはないが、運用方針の練り直しを迫られそうだ。年金積立金の取り崩しは6兆円に膨らんだ。

 運用資産全体(財投債を含む)の利回りはマイナス0.25%となり、09年度のプラス7.91%から大幅に悪化した。09年度の運用益は9兆1850億円で、市場での運用を始めた01年度以降の最高を記録していた。

 10年度末の運用資産は09年度末比5%減の116兆円。高齢化の進展で年金給付が増え、積立金を取り崩したのが大きい。取り崩しは2年連続で、09年度の4兆円を上回った。11年度も6兆円強を取り崩す予定だ。保有する国内債券などを売却し、資金を確保する。

 GPIFは116兆円の資産のうち、約97兆円を市場で運用している。10年度は円高や震災を背景とする株安が響き、国内株式で1兆3300億円の損失を計上した。外国債券は外国通貨ベースでプラスの利回りを維持したが、円高の影響で円ベースではマイナスとなった。

 一方、国内債券と外国株式は運用益を確保した。資産の7割弱を占める国内債券は、長期金利の低下(債券価格の上昇)が追い風となった。外国株式では米国株が13%、ドイツ株が14%上昇したが、円高で収益が目減りしたという。

 GPIFの大江雅弘審議役は6日、10年度の損失について「単年度でマイナスになったからといって、直ちに年金給付に影響が出ることはない」との見方を示した。ただ損失が続けば運用資産が目減りし、期待できる収益が小さくなる。今後の運用成績次第では、年金給付に影響を与える可能性も否定できない。

 11年度は運用方針見直しの一環として、高収益を見込める新興国への株式投資を数百億~1千億円規模で始める予定だ。しかし資産全体に占める割合はごくわずかで、収益の大幅な改善を期待しにくい。年金制度の抜本改革を実施するだけでなく、GPIFの役割の見直しも避けられないとの声が出ている。

2011/7/6 20:08  日本経済新聞