夏の終り、10年振りのポロシャツ
地下鉄がとても暑苦しくて
やっと地上に這い出た瞬間
夜の街は靄掛かって見えた。
まとわりつくような湿気。
ああ、何て粘着質だろう。
夏の終りは、名残惜しさなんてまるでなくて、寧ろ、とても未練がましい。
今夜僕が段ボールから取り出したものはポロシャツ。
10年振りに袖を通すそれにはもう、
押し入れの匂いが染みこんでいた。
冷蔵庫の中身がからっぽだったから、
散歩がてら、
セブンイレブンまでの道すがら、
10年前に考えていた10年後の未来のことを考えた。
好きな女の子はいたけれど、その子と僕のつながりはピアノだけだった。
まるで今の僕が小説にそのルーツを求めるようにね。
ははは(笑)って今さら気付く恋愛と成長の不調和。
人に語って聞かせる程の夢物語とはとことん無縁で、
その当時は部活や受験のことで頭がいっぱいだった。
希望も絶望もなくて、
ただ日和見的に明日がやってくるという意味において、
曖昧なかたちすらもなかった未来。
大人になるということは、それに対して空漠な絵を描くことなのかもしれない。
青春とは何だ?
蒼井優がはぐ役?
他のキャストも年齢違い過ぎたり違和感が…。
でも観る、たぶん。
そうだ、NANAは誰と観に行こう…。