中学生みたいな帰り道
病院に行こうと思って早めに退社した。4階から乗ったエレベーターは、始め無人だったが、すぐに3階で停まった。
そこに、件の彼女がいた。
「お疲れ様です。」というだけの、会話にもなれない挨拶のみの微妙な声と音、そして、沈黙。隣では歩けない僅かな距離と躊躇う歩幅。
自分にほとほと嫌気が差した。
「こういうとき、俺、どうするんだっけ?」なんて思って、記憶を引っ張り出してきても、アクセスに時間がかかるし、アップデートもされていない。
困ったものだ。
どうやら俺は数年も石の上で胡坐を かいていたらしいな。
それでもタイミングを見計らって言葉を投げ掛け、調整を試みて、一緒の帰り道と相成った。
先週より緊張はだいぶ解れて、
そのときの会話の記憶が細かいことに嬉しくなって、
しかし女性はそういうものだったかと冷静になって、
有体に酒や歌や本の話をして、
そのくせ肝心なことはもうほとんど聞き出せなくて、
それでもちょっと幸せだった。
病院?
そんなの行く訳ないじゃん!