重要文化財の修復のお手伝いをさせていただきました。 | ミニチュア制作 La Petite Fleuriste

重要文化財の修復のお手伝いをさせていただきました。

ブログで書くか思案していました。

大変幸運なことに、庭園美術館、殿下書斎の修復でアシスタントをさせていただきました。

http://www.teien-art-museum.ne.jp/

庭園美術館について、Wikipediaで端的に纏められていますので、引用します。

「アールデコ様式の個人住宅は世界中に存在するが、旧朝香宮邸はその中でも質が高く、保全状態が良い。1993年に東京都の有形文化財に指定され、2015年に国の重要文化財に指定された。 建築設計は宮内省内匠寮(担当技師は権藤要吉)であるが、主要な室の内装基本設計はフランスインテリアデザイナーアンリ・ラパンが担当している。」

 

去年の暮れに現場を見に行き、作業に少し参加させていただいたのですが、

まさか今年3、4日と新年早々アシスタントができるとは夢にも思いませんでした。

殿下書斎は一般公開でも入ることができない部屋なので、大変貴重な経験です。

この2日間はアシスタントは、プロの木工家と私の2名でした。

作業にあたり、当時の苦労の痕、歴史の重みを感じました。

 

 

しゃかりきに見えない写真ですが、精一杯頑張りました。

サンディング中です。


通常の仕事なぞどうでもよくなり、また普段の事務の仕事で感じる疲れを何故か感じませんでした。

全身筋肉痛になりましたが、興味があることを仕事として取り組むと疲れにくいのですね。

清々しかったです。

 

 

 

 

アールデコの雰囲気はこの部屋にはありませんね。

色々と不思議な部屋です。

“色々”って便利な言葉です。

最近、現象学的地理学の本を読んでいる影響からだと思いますが、

方位、太陽、キリスト教が気になる部屋だと感じました。

また、殿下と吉田茂を調べても気になる点があります。

今となっては色々と埋もれてしまったことでしょう。

意味があることなのか、ないことなのかすら分かりません。

大変個人的な感想で、また、半可通になってしまう可能性があるので諸々書けませんが、

一つには気のせいではないのであれば、机の向かう方向が本来は定まっているのではないでしょうか。

随分と方位に拘りがある部屋に思えました。 

パンテオンが思い浮かびました。

ネットで見掛ける写真を見るとあちらこちらの向きに置かれ、定位置はないようですが…。

 見当違いかどうか私には知る由もありません。


 殿下書斎の机。

 

ウォールナットの突板で作られた机です。

 

突板というと日本人は安物という感覚がありますが、それは間違いです。

私もずっと突板の家具は安物だと思っていました。

見てください、この見事なブックマッチ。

ブックマッチとは、木目を左右対象に並べて貼り合わせた技法です。


 

本を開いたようですね。


 

 

薄くスライスしないと同じような木目は出ません。

気がおかしくなるほどの対象美。

どこを見てもシンメトリーになっていて、外側だけでなく、中を開けてもブックマッチで、心臓が跳ねました。

 

先に机の写真を載せましたが、書斎の壁は美しいステンウッドの突板です。

サンディング前です。

ニスは伝統的なシュラックニス。

カイガラムシから作られたニスです。 

 


いつもお世話になっている先生。

 

 

大変勉強になりました。

感謝の気持ちで一杯です。



撮影した写真の日付はバラバラです。

せっかくなので正面と裏から撮影した写真も貼り付けておきます。


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庭園美術館内の見学をしたときの写真も載せたいと思っています。


次回の更新はいつになるか分かりませんが、寒気凛冽たる日々が続いておりますので、皆様ご自愛ください。