Dialogue in the Dark | ミニチュア制作 La Petite Fleuriste

Dialogue in the Dark

「目以外の何かでものをみようとしたことがありますか?」
「たった8人のためだけにある至極のアート」


ダイアログ・イン・ザ・ダークは光を完全に遮断した暗闇の中に8人のグループで入り、
そこで五感を研ぎ澄まし、様々な体験をするエンターテイメントです。

3年ほど前からずっと行きたいと思いつつ、機会を逃していました。



エントランス

ミニチュア制作 la petite fleuriste

記事を保存しておいて更新を忘れていました。

クリスマス前だったので、部屋にクリスマスツリーがあり、

オレンジ色の照明と合い重なって優しい雰囲気でした。



ミニチュア制作 la petite fleuriste

この奥に、ある部屋があり、ガイドさんが待っています。
1グループ8人でガイドさんにつき、暗闇を体験します。


ネタバレがありますので、これから行く方はご覧にならない方が
良いかもしれません。


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ガイドの“暗闇こずえさん”案内の元、真っ暗闇の世界へ。


暗闇の世界では、自分の身なりなんか消えてなくなります。
どんなに自分が気に入った高価な服やジュエリーを付けていようと、
ボロボロの服を着ていようと、そこには命の宿る個しか存在しません。
歳や性別、容姿も関係なく、他人の手を取ったりしつつ、
どこへ行き着くのか分からない道を進んでいきます。
初対面の人たちに自分の身を任せ、頼り、
皆で一つのことに一丸となって取り組むということに純粋さを感じました。
不安を取り除くことを諦めたときに初めて不安から解放されます。
不安を取り除こうとする限り、不安に捕われてしまいます。
手放すとそこには無限に広がる未知の世界。
真っ暗で何も見えないという一抹の不安の中に
人の優しさが侵食していくことが心地好く、そんな安堵感もあってか、
私は探究心や好奇心が旺盛な方なので、
行ってはいけないようなところにも入り込んではしゃいでしまいました(笑)。
何かを発見したことの喜びを誰かと分かち合いたい気持ち。
自分を大切に思う、思いたいのと同じように、
他人を大切に思える気持ちがそこでは自然と芽生えました。

人が自分の側に存在するということの安心感、暖かさ、人の体温、心地好い温もり、
誰かが側にいないひんやりとした空気、不安感。

肌で感じる空間、奥行き、存在、命の温かさ…
視覚以外の触覚、聴覚、味覚、嗅覚・・・

どれもが新鮮で刺激的で普段意識しない自分の表在感覚を感じました。

すべての存在が新しくてワクワクし、それらを吸収しようとし、
生きることを謳歌していた幼少期の心を思い出した感じです。
些細なことに感動や感謝を覚える心の素晴らしさ。


終わりや先が見えないことに対する期待感や不安感が錯綜し、
それが高揚感に変わり、暗闇の世界から出たくないような気持ちにもなりました。
見付けた大切なものが夢になってしまうような、魔法が解けてしまうような感覚。
大人になってできなくなったことをしている恥ずかしさもなく、
すんなり受け入れ、適応していた自分を手放したくない想いもありました。
光の世界は情報量が多過ぎて、表面的なことに捕われていることが
多いということに気付きました。
見えないことによってみえてくる。
本質は表面的な視覚に騙されていることがいかに多いか。

刺激が溢れ、取捨選択もままならず、刺激に麻痺しなんとも思わないことも屡々。
大切なことが埋もれています。

普段、雑踏や満員の通勤電車で感じる人に対する不快感とのギャップに
自分の荒んだ心が露にもなりました。
通勤電車なんて男性が目の前や後ろにいると不快に感じることもありますが、
暗闇では他人に対する不快感が全くなく、知らない男性の手を取り合っていました。
勿論悪意がないことが分かってがいるからそう感じるのですが、
暗闇では個、心が存在するのみ。
その他人の存在がありがたいのです。
自分が他人の一部、他人が自分の一部。
皆の安全を配慮し、楽しみを分かち合う。
一人が見付けた小さな発見が、八人の大きな喜びになりました。
砂や葉っぱだらけになって夢中になって遊びました。
世界平和すら感じました。

勿論、以上書いたことは、綺麗事でもあり、
普段の生活を考えるととてもできることではないです。
幻想に捕われた人になる恐れもありますし。
両方の世界の両立、バランスですね。



そして、ツアーが終了し、徐々に光が射し込み、
私を含め八人が椅子に座り、椅子が一つ空いている中、
案内をしてくださったこずえさんが、「どこか一つ空いてますか? 」
と一言。
ハッと気付きます。
こずえさんは、目の不自由な人でした。
全く見えない世界に普段から身を置いているのです。
暗闇にいたので、そのことが全く分からなかったのです。
何気なく、私の隣が空いていたので手を使って導きましたが、
この演出には驚くと同時に現実世界について考えさせられました。

普段見えていない方に逆に見えない世界を教えられ、

非常に貴重な経験ができました。


見えないはずの光景が情景として心の中に残り、
匂いと温かさが強烈に伴うその情景は今でも蘇るようです。
まるでそこでその光景を目ではっきりと見ていたかのように。


ご興味ある方は是非。


数日間、出掛けてきます。
今年も色々とお世話になりました。
良い年末年始をお過ごしください。