ワーキングホリデービザ取得者としてオーストラリアで2017年に働いたアディさんというイギリス人女性が、収入の15%を源泉徴収されたことをめぐってオーストラリア連邦政府を相手に訴訟を起こし、連邦最高裁が女性の主張を認める判決を下しました。

 

現在バックパッカーやワーキングホリデービザ保持者の外国人がオーストラリアで働くと所得の15%を所得税として徴収されます。つまり、1ドルでも稼ぐとその15%を税金として納める必要があり、オーストラリアの自国人や永住者が持っている$182,000の非課税枠がありません。ところが、オーストラリアはイギリスや日本などの国と二重課税防止の租税条約を結んでおり、その締結国人に対して自国人よりも重い税を課してはならないとなっており、アディさんは条約に反して過剰な税金を支払らわされた、と訴えたわけです。

 

ではアディさんの訴えを具体的な金額で説明します。

(為替レートは現在豪州ドルの$1ドルは約85円ですが、計算しやすいので1ドルが100円として計算しますね)

 

* アディさんの収入は265万円でしたから支払った所得税はその15%に当たる39万円です。

 

 

* この金額を182万円の非課税枠を用いて計算するとこうなります。

収入の265万円から非課税分の182万円を引いた83万円に対してのみ課税されます。182万円以上の税率は19%ですから83万円の19%の約16万円が正規の税額となります。ですからアディさんは16万円支払えばいいのに39万円と23万円も余分に支払わされたので、差額分を返還して欲しいと要求し、それが承認されたわけです。

 

この判決によりオーストラリアの税務署は、外国人に対する過剰徴収による返還請求に応じる必要があるわけで、近々その返還手続き方法が発表されるのではないでしょうか。この朗報に該当する日本人は多いのではと思います。でも、オーストラリアの現在の税制は下記のような累進課税となっているので、高額の所得を得た人にはあまり利益はないかもしれません。

                                 税率(%)

$1.00~$182,000       0%

$182,001~$450,000       19%

$450,001~$900,000       32.5%

 

また、返還の手続きは本人ができれば一番いいのですが、エージェントに依頼すると、、、、

 

 

 

 

返還金のほとんどを持って行かれる可能性があるので、悪徳エージェントには気をつける必要があります。