一週間ほど前ですが、オーストラリアのクリケット選手Phillip Hughes(フィリップ ヒューズ)さんがメルボルンでの試合中に怪我をし、数日後に病院で死亡しました。ピッチャーの投げた球がバッターボックスに立っていたヒューズさんの後頭部に当り、脳内出血を起こしたことが原因です。クリケットではピッチャーの投げた球はバッターの手前でバウンスするので、その行方を見間違うと身体に当たったりすることがあるのです。

ヒューズさんは25歳とまだ若く、これまで立派な成績をあげており、これからオーストラリアのクリケット界をしょって立つ人材と期待されていたようです。ということで、ヒューズさんの事故はニュースで大きく取り上げられました。

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この写真は今週水曜日(12月3日)に行われたヒューズさんの葬儀の様子です。葬儀は彼の故郷であるシドニーに近い田舎町の高校の体育館で行われました。人口が2600人ほどの町に外から2000人以上の人が葬儀参列のために訪れたようです。カンタス航空やバージン航空は特別機を飛ばして人々を移動させた、とのことです。

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この新聞記事の写真、右下に写っていますが、なんとこの葬儀にはオーストラリアの首相であるトニー・アボット氏と野党労働党の党首など、有名人も参列しています。
右上の写真はヒューズさんの受けた球を投げた選手の葬儀での様子です。いくら故意ではなく不慮の事故とはいえ、彼の表情から心中の苦悩が察せられます。

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この葬儀の模様はテレビで実況中継されました。パースにあるクリケット場では大スクリーンが設置され、多くの人がそれを見るためにクリケット場に行きました。上の写真がその様子です。
ヒューズさんの死を悼むために家の玄関にクリケットのバットを立てかけている人もいます。私は先日散歩中に、数件の家の玄関脇にクリケットのバットと帽子が立てかけてあるのを見て不思議に思っていたのですが、その意味が後で分かりました。おそらくオーストラリア全土で同じ様な光景を見る事ができたことでしょう。

私はクリケットに興味がないのでヒューズさんのことは、この事故があるまで知りませんでした。でも今回の事故の報道の大きさと人々の対応を見て、オーストラリア人にとってのクリケットというか、スポーツそのものに対する意味の大きさを感じました。

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スポーツはオーストラリア人にとっては一種の信仰のようなもかもしれません。

ちなみに、オーストラリア人の約6割がクリスチャンですが、定期的に教会に行く人はその中の8%ほどとのことです。
ではスポーツをする人の割合はというと、8%よりずっと多いのではないでしょうか。