娘の私を大好きな父は、ほぼ毎日電話をかけてくる


その日も2度目の電話が掛かって来たとき


『ハイハイ、どうした?』


と答えた


受話器からは元気の無い父の声





『お父さんなぁ、癌やねんて・・・』





いつもの冗談かと思った


『ふーん』


まだ冗談だと思っていた


街医者と呼ばれるその辺にある病院で


まさか癌の告知をするとは思っていなかった



詳しく聞くと、先月受けた胃カメラの結果


胃がんが発見されたという


紹介状をもらい、明日大きい病院で診察を受けるという


本人は『胃潰瘍』だと思っていたその病変を


病理検査に出した結果判明したらしい



検査を受けて1ヶ月が経っていた


結果が出ていたはずの日から3週間、その病院の医師が


健康上の都合から休診になっていたそうだ


父は怒っていた



1ヶ月もの間、癌が放置されていたことになる


進行したんじゃないだろうか?と不安になるのは


父だけではないはずだ




その日の夜、不安だったんだろう父から


また電話があり、検査結果をFAXするので見て欲しいと言われた


どうせ見ても分からないだろうと思ったが


少しでも安心させる為に送ってもらった


見ると病理検査の結果だった


こんなものまで渡すのか?



知らない専門用語や英語で書かれた用語がそこにあり


早速調べてみた





!!





印環細胞癌という言葉を調べてみると


印環細胞とは、胃がんの細胞の形を表す用語


この種類の細胞からなるがんとしては“スキルス胃がん(硬がん)”が有名


すべてがスキルス胃がんとは限らないが


スキルス胃がんへ進展する(あるいはすでに進展している)ことが多い


また、悪性度が高いので、腹膜への転移、リンパ節への転移、


骨などの血行性の転移を起こしやすいといわれている




信じられない気持ちだった


父からまた電話があり、どうだったかと聞かれたが


『専門用語が英語で書いてあるから分からない』


としか言えなかった



とにかく、明日予約している大きな病院で診てもらい


詳しい検査をすることになっているんだから


心配するのはそれからにしよう・・・



父に言いながら自分に言い聞かせたが


一睡もできない夜だった