日本経済新聞に不定期で連載されている「美の十選」シリーズの中に「速い絵」というシリーズがありました。

今年8月~9月初めにかけて連載されたものですが、東京ステーションギャラリー館長の冨田 章氏が執筆しています。

私も、時々速描きをトライしているので、興味を持って読みましたが、私の考えていることと似たことを狙っていることが分かり、わが意を得た感じがしました。

 

例えば、速く描くのは意識が作品に干渉するのを避けるため、速く描くことで筆に勢いが生じ、その結果として画面が活性化される、といった記述や、

ゴッホが速描きだったこと、佐伯祐三の絵からにじみ出る躍動感や生命力は、彼の筆の勢いによるところが大きい。そしてそれはスピードから生み出されたものに相違ない。といった記述もあります。

最終回では「ほんのわずかな筆遣いで一気呵成に描くことを、今の人たちは理解しようとしないが、その効果はなんと素晴らしいことか」とゴッホが書いたことなども紹介されています。

 

これらは、まさに私の狙っていることと同じで、非常に納得したものでした。

詳細は、日本経済新聞の8月後半から9月7日まで連載された記事をご覧ください。

もちろん、私の狙っている方向は同じでも、実際に効果的に描けているかというと、残念ながらなかなか思うようには行かないものです。

 

今日も、直接筆での速描きで一枚描いてみたものを以下にご紹介しますが、一つのトライとして、暖かな目でご覧ください。

かかった時間は25分。用紙はウオーターフォード 6F 300g 荒目を使用しています。

25分では速描きといえるかどうかですが……。

(よみうりカルチャーの教室にて) 

 

プロセスをご紹介してみます。

まずは、大きな筆で全体の構成をつくります。(中間的な暗さの部分からスタート)

次いで、全体のバランスを見ながら赤味を配置してみます。

ポイントとなる暗部と人物を配置してみます。

もう少し描き進めて

旗や影の部分を入れて、完成とします。

素材として使用したのは、以前スケッチ旅行に行った南仏のエクサンプロバンスで撮った次の写真です。

この写真は、いつか作品にしてみたいと考えていたものですが、やっとその機会が来ました。

写真はあくまでも素材として使用したものです。

 

こういった速描きは、短時間に集中して一気呵成に描くので緊張の中に楽しさがあり面白いものです。

先に書いたような効果があったかどうかは……?

 

ただ非常に楽しいですよ。