「乖離」 | realharp.com

「乖離」

「覚えていてイイの?」
彼女は聞いた
私は目を閉じて耳を塞いだ
「覚えていなくてイイの?」
また彼女は聞いた
私はココロを閉ざした・・・

花が咲いて
私は女になった
忘れた事すら忘れて
私は悦びに満ちていた

ある暖かい日・・
忘れたはずの記憶が話しかけてきた
「ワタシの事を忘れていたでしょ?」
彼女だった
「ワタシはアナタを覚えてるよ」
「アナタの事は全部覚えてるよ」
と 彼女は言った
私は恐かった
私の何を知ってるの?
そう尋ね その時に初めて
幸せの裏側を知った
いや 思い出した
匂いや感触まで・・

失望
愛憎
悲壮
罪悪

涙がとまらなかった
彼女も泣いていた
彼女は長い間待っていたのだ
期が熟すまで
何も言わず
私の代わりに全てを覚えていた

私達はかつてヒトツだった・・・

今は二人
彼女はまだ全てを語らない
でも私は自分が
なぜ歌っているのか
解ったような気がした