年に一度の機会です。
愛する万年筆たちに、ずっと元気でいてもらうために、欠かせない機会です。
今年も、日本橋で、万年筆ウィークが始まりました。
現在、丸善日本橋店で「世界の万年筆展」が開催中。来週は、日本橋三越で「世界の万年筆祭」があります。
魅惑的な万年筆たちが並ぶ会場に、引き寄せられるように、今年も向かいました。
万年筆たちが放つ無数の投げ縄に、ことごとく引っかかったみたいな吸引力。
ああ、財布の危機。
万年筆、恐るべし。
そんなに危ないのなら、近寄らなきゃ、いいじゃないか。
でも、行かねばならないのです。愛する万年筆のために。
目的は、ペンクリニックです。
万年筆のプロが、無料で、手持ちの万年筆の不具合をチェックしてくれて、書き味を調整してくれる、またとない貴重なチャンス。
三越のほうは、メーカー限定のペンクリニックかもしれませんが、丸善のほうは、どのメーカーでもOKという太っ腹。
ありがたや、ありがたや。
だいたい、使っている万年筆のどれかは、年に一回くらいは調子が微妙におかしくなって、プロに見てもらいたくなるのですよ。
なんたって、ヤフオク・訳アリ大好きの、廃盤品・中古品ユーザーですからね。
今年のクランケは、この3人です。
ペリカンのM101Nトータスシェルブラウンと、
(詳しくはこちらをどうぞ↓↓)
http://blogs.yahoo.co.jp/glirulusjp/32984954.html
金色のタルガ1005姫と、黒衣の騎士のタルガ1022。
(詳しくはこちらをどうぞ↓↓)
http://blogs.yahoo.co.jp/glirulusjp/32850515.html
http://blogs.yahoo.co.jp/glirulusjp/32889166.html
……だから、万年筆にキャラ設定してどうする。
丸善の地下1階の会場を尋ねると、幸い、それほど混雑していません。
ペリカンの特設カウンターに、あの方が、フリーで立っていらっしゃいました!
あの有名な、ペンアドバイザーの山本さんです!
わーいわーい!
さっそく、「あのう~~~ペリカンを使っているのですが……」と、声をかけ、M101Nを取り出しました。
M101Nは、金ペン堂出身のトータスシェルレッドをメーンに、丸善本店夏のバーゲン出身のこのトータスシェルブラウンをサブに、ばりばりメモを取るのに使い倒しています。
(金ペン堂のトータスシェルレッドはこちらをどうぞ↓↓)
http://blogs.yahoo.co.jp/glirulusjp/33306766.html
もう、この2本がないと、メモが取れません。
が。
翼をいっぱいに広げて大空を舞うような書き心地のトータスシェルレッドに比べると、
トータスシェルブラウンは、すこ~~~~し、引っかかりを感じるのです。
ほんの少しなのですが、なにしろ相方が、金ペン堂出身のM101。比べるのがかわいそうなサラブレッドです。
微妙なガリガリした感触が、どうにも気になりました。
長時間、書いていると、疲れた時は手に負担を感じるくらい、紙にペン先が引っかかることもありました。
トータスシェルブラウン。君の本当の実力は、こんなもんじゃないはずだ。
もっと自由に、インクをほとばしらせて紙の上を滑ることができるはずだ。
そうだろう?
そこで、この絶好の機会に、山本さんにみていただくことにしたのです。
山本さんは、トータスシェルブラウンのペン先を丁寧に確かめてくださいました。
「う~ん、ペン先におかしなところはありませんが……どんなときに引っかかりを感じますか?」
「ええと、とくに、こう、右斜め上に線を引くときに……」
「ああ、万年筆の一番の泣き所ですねえ」と、山本さん。
万年筆は、日本の金属の隙間からインクを出す構造です。インクが出る方向と直角に交わる横方向のラインは、構造的に、あまり得意ではないようです。
でも、金ペン堂のトータスシェルレッドは、そんなことを全く感じさせません。
「もう一つのほうを見せてください」と言われ、山本さんにレッドを差し出します。
これまた丁寧に確かめて「こりゃ、かなり繊維が挟まってますよ」
……すみません……どれだけ乱暴に書きなぐっていたか、すっかりばれてしまいました。
山本さんは、もう一度ブラウンを手に取ると、懐から小さなグレーの板を取り出し、ペン先を軽くこすりつけ始めました。
「これはオイルストーンです。ちょっとこすってやるだけで、ずいぶん違いますよ」
触らせていただくと、なめらな感触の砥石でした。
再び手渡されたブラウンは、……おお! かなり引っ掛かりがなくなっています!
………でも、………ん? んん?
ワタクシの不審な顔つきに、山本さんはもう一度、レッドと見比べてブラウンを調整してくださいました。
どうも、どちらかといえばレッドのほうが、ペン先は綺麗でなかったようです。おそらく、ワタクシの書き癖がすっかりついてしまったのでしょう。
そして、手渡されたブラウンは、ほとんど引っ掛かりを感じなくなっていました!
さすが、伝説の山本さんです。 ありがとうございます!
これで、ブラウン君は、ますます活躍してくれることでしょう。
会場には、昨年秋に発売されたペリカンの限定色のM600ピンクのほか、復刻されたグランプラスもありました。今回はM800なんですね。
グランプラスは、旧バージョンと違って首軸と吸入部分が黒なんですね。吸い上げたインクの量が見えないところは変わっていないようです。
あと、青の部分が旧バージョンより多いように感じました。旧バージョンはほぼ茶色という印象ですが、新バージョンは青の印象が比較的強いです。
さて。そうこうしているうちに、ペンクリニックの順番の時間になりました。
この日はパイロットの職人さんで、2人体制だったためか、1時間ちょっとの待ち時間で見ていただけました。
おそるおそるタルガ1005を差し出します。
「パイロットの万年筆も使っているんですが……他社製品ですみません」
というと、女性の職人さんは「いえいえ大丈夫ですよ~」と、にっこり笑ってタルガ1005を受け取ってくださいました。
実はタルガ1005、昨年のペンクリニックでも診ていただいたのですが、またしてもインクが全く出なくなってしまったのです。
職人さんがスポイトを首軸につけてペン先から水を吸い上げようとすると………
……やっぱり、押しつぶしたスポイトは、全く元に戻りません。
つまり、ペン先からスポイトまでの道が通っていないということです。
「これは、詰まっていますね」と、職人さん。
スポイトと超音波洗浄機でペン先を洗浄した後、水を入れたカートリッジを付けて、画用紙か厚手の和紙のような細長い紙にペン先の溝をつけました。
「もし詰まっていなければ、カートリッジに空気の泡が、ぽこっぽこっと出てくるはずなのですが……」とのこと。
待ちます。
待ちます。
…………
う~ん。
タルガ1005のカートリッジの水は、動く気配がありません。
「水につけてもインクの色は出ないのですが、どこか詰まってしまっているようですね……」
と、職人さんは再び、スポイトと超音波洗浄を繰り返してくださいました。
………
でも。
残念ながら、だめでした。
タルガ1005、深刻です。
「これは、メーカーに修理を依頼したほうがいいですね。治らなくてすみません……」と、職人さん。
いえいえ、こちらこそ、申し訳ありません。
中古品ユーザーは、つねに「ダメもと」の覚悟をしております。
というわけで、タルガ1005は、メーカーに長期入院決定となりました………
ワタクシの一番好きな、金のインレイニブ。
いったい、どうしてしまったのでしょう。
治るといいのですが。なにせ、とっくに廃盤になった中古品ですからね。
「ダメもと」で、今度、シェーファーに修理をお願いしてみましょう。
さて。
もう一人のタルガ1022は。
こちらは、ペン先を紙につけると、しばらくして、水が入ったコンバーターに、ぽこっぽこっと空気の泡が浮かんできました!
「ああ、これなんですね!」というと、職人さんはうれしそうに「そうです。これが正常な状態なんです」と教えてくださいました。
このチェック法は、個人でもやれそうです。
1022の主な症状は、どちらかというと、ペン先のひっかかりでした。
最初はふわふわして気持ちいい書き心地だと思っていましたが、書き慣れるうちに、やはりわずかな引っ掛かりが気になるようになったのです。
万年筆は、しばらく書いてみないと、本当の書き心地がわかりません。
職人さんは、ペン先をチェックして「ああ、ペン先がずれてしまっていますね」と、指でぐいぐいとペン先を調整してくださいました。
「少し、書いた時の線が細くなると思います。太くすることもできますよ」
と、手渡してくれた1022は……
今度こそ、ふわっふわの書き心地になっていました!
ラインは少し細目になりましたが、インクが出にくいといった感触はありません。
むしろ、これくらい細いほうが、手帳や手紙を主に書くワタクシのタルガの使い方には合っています。
ありがとうございます!!
ペンクリニック、2本で、所要時間はおよそ20分。
どのメーカーのものでも、廃盤になったものでも、快く状態をチェックしていただけて、できるかぎりの手当てをしていただける。
しかも無料で。
万年筆ユーザーにとって、こんなにうれしいことがあるでしょうか。
こういうことをしてくださるパイロットは、素晴らしいメーカーだと思います。もう好感度うなぎのぼりです。
もちろん、太っ腹のサービスだけでなく、製品も。
漆・デラックスも、ナミキ・ファルコンも、カスタム74も、エリートレディも、どれもみんなスタメンでお気に入り。
これからも大切に使いましょう。
さて。
今年は、いまのところ、まだ散財せずにすんでおります。
いえね。あるにはあったんですよ。
会場の一角で、激しくワタクシを呼び止めた万年筆が。
……でも、恐るべしイタリア製品。
40%オフなのに、金のペン先の万年筆は、とうてい手が届くお値段ではありませんでした……
そう。バーゲンです。
今年の「世界の万年筆展」は、バーゲンのコーナーが昨年より多いですよ。
スティピュラ、アウロラ、オマスの製品が、値引き販売されていました。
どれも廃盤品やモデルチェンジによる型落ち品ですが、新品です。
ああ、いいなあ。
よだれ。
オマスのバーゲンの理由は、ちょっと悲しいものでした。
オーナーが万年筆事業から撤退し、工場が閉鎖されたためだそうです。
というわけで、部品の製造の見通しがたたないため、今後の修理がいつまでできるかはわからないとのこと。
昨年の三越の「世界の万年筆祭」では、同じ理由で、コンウエイ・スチュワートの万年筆が値引き販売されていました。
万年筆メーカーが一つまた一つと消えていくのは、なかなか寂しいものです。
やっぱり、長く使い続けるには、メンテナンスが可能かどうかは、気になるところですからねぇ……
…………って、とっくの昔に廃盤になったシェーファーのタルガを喜んで使っているワタクシが、それ、言うか?
ああ、タルガ1005、修理できるんだろうか。
廃盤品・中古品ユーザーには、常に頭に置いておくべき座右の銘があるのです。
それは、もちろん、
「ダメもと」
です。
愛する万年筆たちに、ずっと元気でいてもらうために、欠かせない機会です。
今年も、日本橋で、万年筆ウィークが始まりました。
現在、丸善日本橋店で「世界の万年筆展」が開催中。来週は、日本橋三越で「世界の万年筆祭」があります。
魅惑的な万年筆たちが並ぶ会場に、引き寄せられるように、今年も向かいました。
万年筆たちが放つ無数の投げ縄に、ことごとく引っかかったみたいな吸引力。
ああ、財布の危機。
万年筆、恐るべし。
そんなに危ないのなら、近寄らなきゃ、いいじゃないか。
でも、行かねばならないのです。愛する万年筆のために。
目的は、ペンクリニックです。
万年筆のプロが、無料で、手持ちの万年筆の不具合をチェックしてくれて、書き味を調整してくれる、またとない貴重なチャンス。
三越のほうは、メーカー限定のペンクリニックかもしれませんが、丸善のほうは、どのメーカーでもOKという太っ腹。
ありがたや、ありがたや。
だいたい、使っている万年筆のどれかは、年に一回くらいは調子が微妙におかしくなって、プロに見てもらいたくなるのですよ。
なんたって、ヤフオク・訳アリ大好きの、廃盤品・中古品ユーザーですからね。

今年のクランケは、この3人です。
ペリカンのM101Nトータスシェルブラウンと、
(詳しくはこちらをどうぞ↓↓)
http://blogs.yahoo.co.jp/glirulusjp/32984954.html
金色のタルガ1005姫と、黒衣の騎士のタルガ1022。
(詳しくはこちらをどうぞ↓↓)
http://blogs.yahoo.co.jp/glirulusjp/32850515.html
http://blogs.yahoo.co.jp/glirulusjp/32889166.html
……だから、万年筆にキャラ設定してどうする。
丸善の地下1階の会場を尋ねると、幸い、それほど混雑していません。
ペリカンの特設カウンターに、あの方が、フリーで立っていらっしゃいました!
あの有名な、ペンアドバイザーの山本さんです!
わーいわーい!
さっそく、「あのう~~~ペリカンを使っているのですが……」と、声をかけ、M101Nを取り出しました。

M101Nは、金ペン堂出身のトータスシェルレッドをメーンに、丸善本店夏のバーゲン出身のこのトータスシェルブラウンをサブに、ばりばりメモを取るのに使い倒しています。
(金ペン堂のトータスシェルレッドはこちらをどうぞ↓↓)
http://blogs.yahoo.co.jp/glirulusjp/33306766.html
もう、この2本がないと、メモが取れません。
が。
翼をいっぱいに広げて大空を舞うような書き心地のトータスシェルレッドに比べると、
トータスシェルブラウンは、すこ~~~~し、引っかかりを感じるのです。
ほんの少しなのですが、なにしろ相方が、金ペン堂出身のM101。比べるのがかわいそうなサラブレッドです。
微妙なガリガリした感触が、どうにも気になりました。
長時間、書いていると、疲れた時は手に負担を感じるくらい、紙にペン先が引っかかることもありました。
トータスシェルブラウン。君の本当の実力は、こんなもんじゃないはずだ。
もっと自由に、インクをほとばしらせて紙の上を滑ることができるはずだ。
そうだろう?
そこで、この絶好の機会に、山本さんにみていただくことにしたのです。
山本さんは、トータスシェルブラウンのペン先を丁寧に確かめてくださいました。
「う~ん、ペン先におかしなところはありませんが……どんなときに引っかかりを感じますか?」
「ええと、とくに、こう、右斜め上に線を引くときに……」
「ああ、万年筆の一番の泣き所ですねえ」と、山本さん。
万年筆は、日本の金属の隙間からインクを出す構造です。インクが出る方向と直角に交わる横方向のラインは、構造的に、あまり得意ではないようです。
でも、金ペン堂のトータスシェルレッドは、そんなことを全く感じさせません。
「もう一つのほうを見せてください」と言われ、山本さんにレッドを差し出します。
これまた丁寧に確かめて「こりゃ、かなり繊維が挟まってますよ」
……すみません……どれだけ乱暴に書きなぐっていたか、すっかりばれてしまいました。
山本さんは、もう一度ブラウンを手に取ると、懐から小さなグレーの板を取り出し、ペン先を軽くこすりつけ始めました。
「これはオイルストーンです。ちょっとこすってやるだけで、ずいぶん違いますよ」
触らせていただくと、なめらな感触の砥石でした。
再び手渡されたブラウンは、……おお! かなり引っ掛かりがなくなっています!
………でも、………ん? んん?
ワタクシの不審な顔つきに、山本さんはもう一度、レッドと見比べてブラウンを調整してくださいました。
どうも、どちらかといえばレッドのほうが、ペン先は綺麗でなかったようです。おそらく、ワタクシの書き癖がすっかりついてしまったのでしょう。

そして、手渡されたブラウンは、ほとんど引っ掛かりを感じなくなっていました!
さすが、伝説の山本さんです。 ありがとうございます!
これで、ブラウン君は、ますます活躍してくれることでしょう。
会場には、昨年秋に発売されたペリカンの限定色のM600ピンクのほか、復刻されたグランプラスもありました。今回はM800なんですね。
グランプラスは、旧バージョンと違って首軸と吸入部分が黒なんですね。吸い上げたインクの量が見えないところは変わっていないようです。
あと、青の部分が旧バージョンより多いように感じました。旧バージョンはほぼ茶色という印象ですが、新バージョンは青の印象が比較的強いです。
さて。そうこうしているうちに、ペンクリニックの順番の時間になりました。
この日はパイロットの職人さんで、2人体制だったためか、1時間ちょっとの待ち時間で見ていただけました。
おそるおそるタルガ1005を差し出します。
「パイロットの万年筆も使っているんですが……他社製品ですみません」
というと、女性の職人さんは「いえいえ大丈夫ですよ~」と、にっこり笑ってタルガ1005を受け取ってくださいました。

実はタルガ1005、昨年のペンクリニックでも診ていただいたのですが、またしてもインクが全く出なくなってしまったのです。
職人さんがスポイトを首軸につけてペン先から水を吸い上げようとすると………
……やっぱり、押しつぶしたスポイトは、全く元に戻りません。
つまり、ペン先からスポイトまでの道が通っていないということです。
「これは、詰まっていますね」と、職人さん。
スポイトと超音波洗浄機でペン先を洗浄した後、水を入れたカートリッジを付けて、画用紙か厚手の和紙のような細長い紙にペン先の溝をつけました。
「もし詰まっていなければ、カートリッジに空気の泡が、ぽこっぽこっと出てくるはずなのですが……」とのこと。

待ちます。
待ちます。
…………
う~ん。
タルガ1005のカートリッジの水は、動く気配がありません。
「水につけてもインクの色は出ないのですが、どこか詰まってしまっているようですね……」
と、職人さんは再び、スポイトと超音波洗浄を繰り返してくださいました。
………
でも。
残念ながら、だめでした。
タルガ1005、深刻です。
「これは、メーカーに修理を依頼したほうがいいですね。治らなくてすみません……」と、職人さん。
いえいえ、こちらこそ、申し訳ありません。
中古品ユーザーは、つねに「ダメもと」の覚悟をしております。
というわけで、タルガ1005は、メーカーに長期入院決定となりました………
ワタクシの一番好きな、金のインレイニブ。
いったい、どうしてしまったのでしょう。
治るといいのですが。なにせ、とっくに廃盤になった中古品ですからね。
「ダメもと」で、今度、シェーファーに修理をお願いしてみましょう。
さて。
もう一人のタルガ1022は。

こちらは、ペン先を紙につけると、しばらくして、水が入ったコンバーターに、ぽこっぽこっと空気の泡が浮かんできました!
「ああ、これなんですね!」というと、職人さんはうれしそうに「そうです。これが正常な状態なんです」と教えてくださいました。
このチェック法は、個人でもやれそうです。
1022の主な症状は、どちらかというと、ペン先のひっかかりでした。
最初はふわふわして気持ちいい書き心地だと思っていましたが、書き慣れるうちに、やはりわずかな引っ掛かりが気になるようになったのです。
万年筆は、しばらく書いてみないと、本当の書き心地がわかりません。
職人さんは、ペン先をチェックして「ああ、ペン先がずれてしまっていますね」と、指でぐいぐいとペン先を調整してくださいました。
「少し、書いた時の線が細くなると思います。太くすることもできますよ」
と、手渡してくれた1022は……
今度こそ、ふわっふわの書き心地になっていました!
ラインは少し細目になりましたが、インクが出にくいといった感触はありません。
むしろ、これくらい細いほうが、手帳や手紙を主に書くワタクシのタルガの使い方には合っています。
ありがとうございます!!
ペンクリニック、2本で、所要時間はおよそ20分。
どのメーカーのものでも、廃盤になったものでも、快く状態をチェックしていただけて、できるかぎりの手当てをしていただける。
しかも無料で。
万年筆ユーザーにとって、こんなにうれしいことがあるでしょうか。
こういうことをしてくださるパイロットは、素晴らしいメーカーだと思います。もう好感度うなぎのぼりです。
もちろん、太っ腹のサービスだけでなく、製品も。
漆・デラックスも、ナミキ・ファルコンも、カスタム74も、エリートレディも、どれもみんなスタメンでお気に入り。
これからも大切に使いましょう。
さて。
今年は、いまのところ、まだ散財せずにすんでおります。
いえね。あるにはあったんですよ。
会場の一角で、激しくワタクシを呼び止めた万年筆が。
……でも、恐るべしイタリア製品。
40%オフなのに、金のペン先の万年筆は、とうてい手が届くお値段ではありませんでした……
そう。バーゲンです。
今年の「世界の万年筆展」は、バーゲンのコーナーが昨年より多いですよ。
スティピュラ、アウロラ、オマスの製品が、値引き販売されていました。
どれも廃盤品やモデルチェンジによる型落ち品ですが、新品です。
ああ、いいなあ。
よだれ。
オマスのバーゲンの理由は、ちょっと悲しいものでした。
オーナーが万年筆事業から撤退し、工場が閉鎖されたためだそうです。
というわけで、部品の製造の見通しがたたないため、今後の修理がいつまでできるかはわからないとのこと。
昨年の三越の「世界の万年筆祭」では、同じ理由で、コンウエイ・スチュワートの万年筆が値引き販売されていました。
万年筆メーカーが一つまた一つと消えていくのは、なかなか寂しいものです。
やっぱり、長く使い続けるには、メンテナンスが可能かどうかは、気になるところですからねぇ……
…………って、とっくの昔に廃盤になったシェーファーのタルガを喜んで使っているワタクシが、それ、言うか?
ああ、タルガ1005、修理できるんだろうか。
廃盤品・中古品ユーザーには、常に頭に置いておくべき座右の銘があるのです。
それは、もちろん、
「ダメもと」
です。
